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コラム
中小企業の場合、実際に株主総会が行われていないことが多く、税理士などが作成した議事録だけが存在しています。
これについて争い、納税者が負けた事例があるので、参考にしていただければと思います。
この事例に登場する会社は、税理士が作成した議事録の限度額を超えて、役員報酬を支給していました。
この限度額を超える部分について、過大役員報酬として否認されたのですが、根拠となったのは議事録でした。
当初、税務調査官に見せた議事録には、「議事録に記載された限度額(2,000万円)<実際に支給された役員報酬総額2,750万円」と記載されていました。
しかし、のちに税務調査官に再提出した議事録では、「議事録に設定された限度額(3,000万円)>実際の役員報酬総額(2,700万円)」となっていたのです。
これについて、納税者、税務署双方の言い分は次のようなものです。
〈納税者の言い分〉
①株主総会は実際に開催されていない、議事録は形式的な書類
●株主総会の決議は存在しない
●役員報酬が過大かどうかは実際の職務内容で判断するべき
②議事録が根拠になるとしても、再提出した議事録が正しいものである
●最初に見せた議事録には誤りがあった
●あとで見せた議事録が根拠ならば過大額はありえない
●この議事録は税務調査時には所在が不明であった
〈税務署の言い分〉
①あとから再提出した議事録は指摘後に作りなおしたものである
②職務内容から考えて過大かどうかの判断をするまでもない、議事録に記載された限度額が過大額の根拠となる
この主張に対し、国税不服審判所は、
①納税者が税理士に議事録の作成を依頼している
②議事録を各役員で回覧し、押印している
③実質的に株主総会が開催され、決議が行われたのと同じである
④税理士は議事録作成の際、決算書の承認の有無・役員報酬の変更の有無・変更がある場合の金額の3点を社長に確認している
以上の理由により、税務署側の主張が認められました。
この事例からわかることをまとめると次の2点です。
①役員報酬の総額を決める場合は、上限を大きく設定しておくこと
上記の事例でも、議事録の額を5,000万円などに設定しておけば、のちのち争うことも、否認されることもなかったでしょう。
②税務調査前に重要な議事録などは再度チェックしておくこと
とくに役員報酬を改訂する場合は、役員報酬の総額を決議した直近の議事録の記載がどうなっているかを税理士と一緒に確認しておくことを忘れないようにしましょう。
なお、議事録を作成した税理士が税務調査に慣れていない場合は、本来見落としてはいけないポイントが見逃されることもありえます。
ですから、税務調査が来るとなれば、調査に強い税理士にセカンドオピニオンを求めるのも有効です。
経験が豊富な税理士なら調査で見られるポイントを念頭に、素早く的確なアドバイスをすることができます。
当事務所でも「税務調査の緊急医」という税務調査専門部隊や国税・税務署のOBがいるサービスをご用意しております。
顧問税理士がいる場合でも、どうぞお気軽にご相談ください。
※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。