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コラム
みなさんの会社では、株主総会や取締役会を会社法に則って開催し、議事録をきちんと作成しているでしょうか。
多くの中小企業では、株主総会などは実際に開催されておらず、議事録という書類(紙)だけが存在しているというケースもよくみられます。
税務調査では、この議事録の真偽が問題になることがあるのですが、納税者が勝った事例もあります。
それは、役員退職金を決議した取締役会議事録の真偽について、争われたものです。
〈前提条件〉
●実際に取締役会は開催されたが、議事録作成は司法書士に任せたままである
●議事録に記載された開催時刻は「午前11時」となっているが、実際の取締役会は「午後6時」に開催されていた
●議事録に記載された出席取締役は8名全員となっているが、実際の出席人数は7名であった
●議事録に記載された議長は「代表取締役」だが、実際の議長は別の取締役Aだった
〈税務署の主張〉
●この日の取締役AとBは出張中だったので、午前11時の取締役会には出席不可能である
●取締役会の議事録が事実と相違している
●役員退職金の決議がされた事実が認められない、したがって役員退職金は経費として認められない
〈納税者の主張〉
●取締役Bは日帰り出張なので午後6時の取締役会に出席できる
●取締役Bの出張先からの帰路の空港出発時刻は午後4時5分なので、午後6時の取締役会に出席可能
●取締役Cの手帳に、18時取締役会と記載がある
●議事録の内容は事実と相違しているが、取締役会は実際に開催されているので、役員退職金は経費として認められるべきである
以上、双方の申立てに対し、国税不服審判所の判断は次のようなものでした。
〈国税不服審判所の裁決〉
●議事録に内容が事実と相違してはいるが、実際に開催されたという納税者の主張には信ぴょう性がある
●議事録の内容が事実と異なるから取締役会が開催されていないとする税務署の主張は採用できない
●役員退職金を決議した取締役会は実際に開催されているので、経費として認められる
このように、大きな経費である役員退職金などを決議する場合には、議事録のみ(株主総会や取締役会が実際に開催されていない)では、税務署から経費と認めてもらえないことが多いのです。
上記の事例では、取締役のタイムカードや航空券の半券、手帳の記載などを元に、事実を証明することができました。
役員退職金などを決議する場合は、細心の注意を払い、事実を証明する証拠を保存しておくことがとても重要になります。
ところでもし、証拠は揃っているのに「国税への反訴の仕方がわからない」「お願いしている税理士がちゃんと対応してくれるか不安」ということでしたら、税務調査に強い税理士を探すのが重要です。当事務所でも、税務調査が実施された後のお客様からのご相談も承っております。「税務調査の緊急医」サービスにて、経験の豊富な税務調査専門チームと、実際に税務調査を行ってきた国税・税務署のベテランOBが徹底的にサポート。税務調査対応に必要なのはスピードです。不安があるようでしたら、お早めにご相談ください。
※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。