COLUMN

コラム

税務調査への対応策

不正の発覚によって重加算税が課される場合とは?

税務調査を受けた結果、従業員のキックバックや横領といった不正が見つかることがあります。
会社としてはあずかり知らぬことなのですが、この際、問題になるのが「重加算税の対象になるか、ならないか」です。

◎従業員の不正が見つかったら?

従業員の不正発生に関連したケースの裁決があります。参考にご紹介しましょう。

〈前提条件〉
●ペット用品の製造販売を行うB社
●B社の従業員Cが外部への支払額を水増し、キックバックをもらっていた
(Cは昭和59年3月入社、資材課係長として1年/その後平成11年3月に別工場資材課の一般職に異動後、退職まで現職)
●不正は平成11年0平成20年12月まで続いた
●以上が税務調査で発覚し、重加算税の対象となった

こちら、国税不服審判所で争われた結果、重加算税の対象にはならないという裁決が出ています。

〈重加算税の対象にならなかった理由〉
●Cは資材課の一般職であったこと
●不正が行われていた期間、Bは材料の発注、検収などの一部を担当していたにすぎないこと
●Cが役員に就任していたことはない
●重要な地位や権限を与えられたことがない
●経理課に所属していたことがない
●重要な経理の帳簿の作成を任されていたことがない
●Cが独断で行ったことであり、会社の認識のもとに行われたものではない
●B社が取引の管理を怠り、Cの不正を発見できなかったことをもって、Cの行為をB社の行為として同一視することはできない

とくに最後の項目は、争う際の論点になるので重要です。
つまり、「不正行為を働いた従業員(経営者でない人)の個人的な利得を目的に行われたなら、通常は重加算税の対象にならない」ということです。

◎従業員の不正を認識できる場合は重加算税の対象に

一方で、従業員の不正行為を法人が十分認識できたと判断された場合は、「従業員の不正行為=法人の不正行為」とみなされ、重加算税の対象になるので注意が必要です。

この判断を行うポイントは、不正を行った人はどの立場にいて、「どんな仕事をしていたか」になります。
上記判断基準からみれば、「現場の一担当者」レベルであれば、まず重加算税の対象にはなりません。
ただし、現場の一担当者の不正でも、会社として重加算税の対象とみなされるケースも多いです。みなさんの会社が同じような状況で指摘を受けたときには、しっかりと反論していきましょう。

しかし、反論をしましょうと言われても、どのように反論すれば効果的なのか、反論のためにどのような情報を集めてまとめておけばよいかなど、不明な点も多いと思います。これはやはりケースバイケースなので、税務調査への対応実績が豊富な専門家にご相談いただくのが、無駄なく的確な対応の肝です。

特に、税務調査を実施する側の考え方や振る舞いを知り、税務調査対応経験が多い専門家に相談すれば、鬼に金棒。実は当事務所でも、国税・税務署OBを擁して「税務調査の緊急医」という形でサポートを致しております。税務調査対応が必要となれば、ご相談くださいね。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。