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コラム
税務調査官の誤指導により、前回の税務調査でOKといわれた通りの処理を続けた結果、次の税務調査で「この処理方法はNG」と否認されてしまったというケースもあります。
前回担当した税務調査官が正しい判断を行っていれば、その後も間違った処理を継続することはなかったと思います。
本税はもともと納めていたものなので別として、過少申告加算税と延滞税は、前回の税務調査官のミスにより発生したことになります。
納税者の責任ではないのに、この過少申告加算税と延滞税を納めなくてはならないというのは、理不尽ですよね。
では、こうしたケースに遭遇したときは、どうしたらよいでしょうか。
国税通則法の規定では、「正当な理由がある場合には、過少申告加算税はかからない」と書かれています。
税務調査官の誤指導が正当な理由に該当するかどうかについては、国税不服審判所の裁決が出ているので紹介しましょう。
〈前提条件〉
●A社が積立金とすべきものを保険料とした
●前回の調査時に調査官はこれに関する書類の提示を受けた
●調査官は「積立金にするべきである」と伝えたかもしれないが、それ以上は問題視しなかった
●税務署に保存されている資料にはこれに関する記録がない
〈国税不服審判所の判断〉
●前回の調査官は積立金の問題を指摘し、その是非を検討
●法令の解釈を誤解し、何の指導もしなかったことが認められるので、過少申告加算税はかからない
以上のように、税務調査官の指導のミスは、過少申告加算税がかからない正当な理由となるのですね。
ただし、誤指導があったかどうかを客観的に説明できるように、できるだけ具体的な証拠、記録を残しておくようにするとよいでしょう。
また一方で、延滞税が免除される場合もあります。その条件は次の通りです。
①納税者から十分な資料の提出があったにもかかわらず、誤指導し、納税者がその誤指導を信頼したこと
②納税者がその誤指導を信じたことにつき、納税者側に非がないこと
上記のケースでは延滞税も免除されました。延滞税の免除は意外に認知されていなかったり、見落としていたりすることが多いものですので、確認しましょう。
なお免除される期間は、「誤指導をした日から納税者が誤指導であることを知った日以後7日を経過した日まで」とされています。
ところで、今年の税務調査で起きた指摘が、前回の税務調査で問題でなかった場合、本当に前回が誤りなのかというと、逆のケースもありえます。前回が実はNGなのに見逃されていた、という場合です。すると、また対応が変わってきますね。だから税務調査対応において大事なのは、「今本当に正しい税務処理を知っている専門家」のサポートを得ることなのです。また最新の税務処理を知っているだけでなく税務調査対応経験が多い専門家がいればこそ、税務調査官への説明や交渉もそつなく終えられます。当事務所でも国税・税務署のベテランOBを擁して、「税務調査専門」のチームを組み、「税務調査の緊急医」サービスをご提供していますので、税務調査が気にかかるときはお気軽にご相談ください。
※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。