COLUMN

コラム

税務調査対応の基礎知識

法人事業概況説明書からわかる国税庁と国税局のねらい

法人事業概況説明書とは

法人事業概況説明書は税務署の調査・指導等に活用される資料です。東京国税局の場合には、この資料を次のように位置づけています。
「営業成績に著しい変化があった場合などは、事業概況説明書にその理由を詳しく記入すべきである。それによって多くの場合、申告書面の問題は納得される。こうした特殊事情や原因が的確に表現されている申告書ほど、信頼される。」

そして、法人事業概況説明書の事項を観察することで、課税当局による法人税調査のポイント、何を重視しているのか、どういった分析方法をとっているのかといった税務調査対応の要点が見えてきます。

法人事業概況説明書の記載事項

①事業内容
②支店・海外取引状況
③期末従業員等の状況
④電子計算機の利用状況
⑤経理の状況等
⑥株主または株式異動の有無
⑦主要科目
⑧インターネットバンキング等の利用有無
⑨役員または役員報酬の移動の有無
⑩代表者に対する報酬等の金額
⑪事業形態
⑫主な設備等の状況
⑬決済日等の状況
⑭帳簿類の備付状況
⑮税理士の関与状況
⑯加入組合等の利用状況
⑰月別売上高等の状況
⑱当期の営業成績の概要

こちらから分かることは、まず役員又は役員報酬の移動の有無を重視しているということです。役員又は役員報酬額の異動があった場合には、次のことをチェックしています。
・法人税法34条の規定による定期同額給与に街頭しない支給額の有無
・代表者に対する不相当に高額な報酬
・役員勤務の実態

また②から、海外取引法人も要チェックされていることが分かりますね。こちらに関しては平成3年に国税局・主要税務署に、海外取引専任者である国際取引調査官を設置していることからも合点がいきます。
そして④から、コンピュータ処理を重視していることが分かります。つまり中小法人のコンピュータ処理に対して国税当局が敏感になっていることも分かりますね。
このように国税庁や国税局も敏感になっているポイントについては、納税者側も重点を置いて意識したほうがよいでしょう。

法人事業概況説明書の重要性をご紹介した今回。当事務所で働くスタッフには、国税局・税務署で長年税務調査を担当してきたOBがおり、彼らも数多の法人事業概況説明書や他書類やデータにつぶさに目を通し、調査をしておりました。そしてそこで培った見識・ノウハウを、逆に今、国税局・税務署OBは当事務所で税務調査対応に苦心する企業様のサポートをしています。「税務調査の緊急医」サービスという形でこのサポートをご提供していますので、税務調査に関する不安・疑問がありましたら、ぜひご相談ください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。