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税務調査対応の基礎知識

有価証券の期末評価 ~評価損を計上するのはどこから?~

今回は有価証券の期末評価に関するよくある質問と答えを紹介します。

まずは税務調査で実際にあった事例についての質問から見ていきましょう。

◆質問

『法人Aは保有している上場株式の株価が期末に約40%低下したことから評価損を計上した。しかしその額は上場有価証券の価額が著しく低下した事実には該当しないと判定され否認された。では著しく低下したというのはどのような基準をもって判断すれば良いのか?』

◆答え

『株価が50%相当額を下回った場合、「有価証券の価額が著しく低下したこと」になります。そして評価損を計上することになります。』

これは低下割合50%基準と呼ばれており、この基準は国税不服審判所の裁決でも支持されています。ただしこの低下割合50%が唯一無二の基準というわけではありません。その株価の今後の回復可能性も加味した上で判断がなされるのです。

実際に法に該当文書があるのでご紹介しますね。
「令第68条第1項第2号イ(上場有価証券等の評価損の計上ができる場合)に規定する「有価証券の価額が著しく低下したこと」とは、当該有価証券の当該事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額のおおむね50%を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれないことをいうものとする。(注)1略(注)2本文の回復可能性の判断は、過去の市場価格の推移、発行法人の業況等も踏まえ、当該事業年度終了の時に行うのであるから留意する。」

ところで「評価損」についても、簡単にご紹介いたしましょう。

◆評価損とは

評価損とは会社の保有資産の時価が簿価を下回っている場合の時価と簿価の差額を指します。上記の質問のケースであれば、会社の株式の時価が簿価よりも40%下落したのにこれが計上できなかったというケースになります。

今回もなかなか難しいですが、ポイントとしては帳簿価額の50%相当額を下回ると評価損に計上ができるということです。これは実際の経理業務でも覚えておいたほうがよい内容ですので、生かしていただければと思います。

ただ、日々の経理において完璧に処理するのもなかなか難しいものです。過去の分を見返したら、実は間違っていた・・・ということも覆おうにあります。そこで、税務調査が来るかも・来たとなれば、いの一番に税務の専門家に相談してください。税務調査に強い税理士であれば、税務調査が来る前にポイントをチェックし、追徴課税の減額・回避をサポートできます。当事務所でも「税務調査の緊急医」サービスをご用意しており、実績のある「税務調査専門」のチームが徹底的に税務調査対応をサポートしているので、お気軽にご連絡ください。


※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。