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税務処理の基礎知識

税務調査では過去何年分まで調べるのか/交際費はどこを調べられるのか

税務処理を担う、経理や会計担当の立場であれば、「税務調査の基礎」は抑えておくべきです。
いつ行われるかわからない税務調査。いざというときに慌てないように、ある程度の心構えはしておきたいものですね。
過去何年分まで調べられるのか、交際費はどこを調べられるのかといった気になるポイントを、今回はご紹介します。

◎税務調査では過去何年分まで調べるのか

税務調査は、確定申告書を提出した事業年度について行われます。
まず、最初に調べられるのは、確定申告書を提出した直近の事業年度です。
そこから順次過去へさかのぼり、だいたい過去3事業年度分まで調査されることになります。

また、税務当局の都合で、過去1年分のみ、2年分だけで調査が終わることもあるようです。
とはいえ、事実の隠蔽や仮装にもとづく申告が発覚すれば、過去7年分に対しての調査が行われることになっていますので、注意が必要です。

なお、まれに申告書を提出する前に調査が行われることがありますが、この場合は拒否ができます。
税務署は、法定申告期限前に課税処分することはできないし、会社の会計処理も確定したものではないからです。
この点は覚えておくとよいでしょう。

◎交際費の調査について

税務調査で必ず調査されるのが、交際費です。
交際費は一部に限り損金とできるため、本来交際費として処理されるべきものが他の費用として損金に算入されていないかチェックされます。
交際費の調査は比較的簡単に行うことができるし、交際費を調べれば指摘事項が出てくることも多いため、なおさらに調査されやすいのです。

よくある例として、社員を飲みに連れて行ったときの飲食費を福利厚生費として処理したら、交際費として課税されたというもの。
税務上の交際費は、一般的にいわれる交際費よりも範囲が広いので、間違いやすい項目です。
一人あたりの飲食費が5000円以下であれば交際費としないこともできますが、会社内部の役員や従業員だけの飲食は、会議費となるものを除き、交際費になってしまいますから、税務上の交際費の範囲について正しく理解しておくことが大切ですね。

交際費の支出の相手方は、直接その法人の営む事業に取引関係のある人にかぎらず、間接にその法人の利害に関係のある人、およびその法人の役員、従業員、株主なども含まれるものとされています。
また、役員の個人費用を会社に負担させていないかもチェックされるので、注意しておきたいところです。

そもそも交際費は社内のコミュニケーションのため、顧客を得る・維持する縁のため、必要な出費であることが多いと思われますが、税務署からは必ずしも営業に必要ないと考えられています。だから、全て損金とはならず、5000円以下なら損金にできるとされているのです。交際費に限らず、経営する側の考えと税務署による判断のずれは、往々にしてあり、悪意があったわけでなくても見解の相違や知識不足によって、申告漏れとされて追徴課税されることもあります。

こうした事態は日々の会計処理で避けられるのはもちろん、税務調査への対応方法によって避けることもできます。当事務所では、国税・税務署のOBがスタッフとして働いており、「税務調査の緊急医」という形で、税務調査への備え・対策をサポートさせていただいております。税務調査に関して不安がありましたら、頼れる専門家にご相談ください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。