COLUMN

コラム

税務調査対応の基礎知識

法人はグループ別に管理されている?

日本には多くの法人が存在します。その数おそよ300万社です。国税の法人課はこの膨大な数の法人をグループ別に分類、管理し、それを元に税務調査の実地調査対象などを選定していると言われています。
ここでは前回に引き続き、グループ別の質的管理体制について詳しく解説していきます。コラムを読んでいる皆さんの会社の位置づけも知っていただければと思います。

◆グループ法人の質的管理体制

近年のグループ法人は一体的運営が進んでいることから、平成22年度の税制の改正で資本に関係する取引に係る税制が導入されました。これによって実態に即した課税の取り扱いとして、100%グループ内の取引についての課税繰延べ(税を課すべき所得を先送りすること)を行い、また資本金5億円以上の大法人の子会社に中小企業税制の適用を行わないということが決まりました。
そのためたとえ連結納税制度の適用法人でなくとも、資本関係のあるグループ法人を一括して調査対象とする体制が採用されています。

◆大法人の質的管理体制

国税局調査部では法人を超大規模法人と大法人の2グループに分けて調査を分担しています。
超大規模法人に対しては、特別国税調査官のグループが毎年または1年おきに実地調査を実施しています。また大法人に対しては業種別に業種別の調査部門が統括官の指示で高収益法人を主体に、ほぼ3年ごとに実地調査を行っている例が多いです。
また近年、連結法人の増加が著しくなっています。連結親法人は全国各地の連結子法人を統括し、国税局の所管を超えた大規模法人が多くそれぞれの国税局が調査行うことになります。そこで連結法人は特別国税調査官が担当して、連結子法人の調査も含めて調査を充実させています。

◆中小企業の質的管理体制

中小企業の質的管理体制については前回のとおりです。

国税はこのような質的管理体制に様々な情報を組み合わせて、的確な調査対象の選定を試みています。自社がどのような管理体制の下にいるかを意識しておけば、今後の税務調査対策も多少想定がしやすくなるというものですね。

ところで、税務調査対応のための準備を常にしておく、というのも非合理的ですね。定期的に受けるものではなく、突然受けるのが税務調査。一方で、ひとたび発生すると過去の会計資料も含めて必要な書類の準備に大わらわとなり、またどのように調査に対応し何を答えるのが適切かを念頭に置いて、実際に対応する必要があります。これは特に中小企業者さんにとっては、なかなか大きな負担となります。一歩間違えば、追徴を招くという精神的なストレスも大きいでしょう。そこで、もし税務調査対応への負担・不安が大きいと感じられている場合には、専門家に頼ってください。例えば当事務所では、「税務調査の緊急医」というサービスを行っています。税務調査経験の豊富な税務署OBや、税務調査対応経験が豊富なスタッフをそろえています。お気軽にご相談くださいね。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。