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コラム
中小企業においても、従業員のモチベーションや定着率を高めるために退職金制度の導入を検討する企業が増えています。そんな中「そもそも中小企業に退職金制度は必要なのか?」「導入するとどんなメリットやデメリットがあるのか?」「退職金共済と独自制度、どちらが得か?」など、疑問を感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、中小企業が退職金制度を導入する際のメリット・デメリットをはじめ、退職金共済制度との比較、前払退職金制度の特徴、退職金の積立・天引きの方法について詳しく解説します。
退職金制度とは、従業員が退職する際に企業から支払われる金銭的な給付のことを指します。大企業では一般的に導入されていますが、中小企業では制度の有無や設計が企業ごとに異なるケースが多く、自由度が高いのが特徴です。
退職金の支給方法には以下のような種類があります。
・自己制度型
・中小企業退職金共済制度(中退共)
・前払退職金制度
・従業員の定着率・満足度の向上
退職金制度があることで、従業員にとって「長く働くほど報われる」という安心感が生まれ、離職率の低下が期待できます。
・優秀な人材の採用につながる
制度が整っている企業は、求職者からの信頼も高く、採用面でも有利になります。福利厚生が整っていることは、中小企業にとって差別化のポイントにもなります。
・節税効果がある
退職金は原則として損金算入が可能です。さらに、一定の要件を満たす場合は、中小企業退職金共済(中退共)への掛金も全額損金扱いとなります。
・資金繰りへの影響
退職金は退職時に一括支払いが基本のため、長期間勤務した従業員が退職すると多額の資金が必要になります。これが突然発生すると、資金繰りに支障をきたす恐れもあります。
・制度設計・運用の手間
自己制度型で設計する場合、退職金規程の整備や資金の積立方法を自社で検討・管理する必要があります。手間とコストの両面で負担が増えます。
・従業員間の不公平感
役職や勤続年数、雇用形態によって金額が異なることから、制度設計が不適切だと不公平感を招くこともあります。
退職金制度には、自社で独自に制度を設計・運用する「自己制度型」と、国が運営する「中小企業退職金共済制度(中退共)」などの共済制度を活用する方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、導入時には慎重な検討が必要です。
共済制度は、企業が毎月一定額の掛金を共済機関に支払うことで、従業員が退職する際にその共済機関から退職金が直接支給される仕組みです。特に「中退共」は、掛金が全額損金算入できるうえ、制度の設計や運用の手間がかからないという点で、多くの中小企業にとって導入しやすい制度となっています。また、一定の条件を満たすと国の助成制度(加入奨励金など)を利用できる場合もあり、財務面の負担軽減にもつながります。
一方、自社制度は、支給額や条件、運用ルールなどを柔軟に設計できるのが特徴です。たとえば役職や評価制度と連動させることで、社員のモチベーションアップや長期的な人材戦略に直結する設計が可能になります。ただし、制度の整備や資金の積立・管理をすべて社内で行う必要があるため、運用に手間やコストがかかる点は注意が必要です。
どちらの制度を選ぶかは、企業の規模や財務状況、人材育成の方針などをふまえて判断すべきでしょう。制度の違いを理解したうえで、自社にとって最適な選択をすることが、従業員と企業双方の将来にとって重要なポイントとなります。
「前払退職金」についてご存じない方も多いかもしれません。
これは、退職時にまとめて支払うのではなく、月々の給与に上乗せして支給する方式です。従業員にとっては毎月の給与が増えるという実感が得られ、企業側は退職時に多額の支出を回避できる制度でもあります。ただし、給与として支給されるため、所得税・社会保険料の対象になることと、退職時のまとまった金額がないことで、退職後の安心感に欠ける場合もあります。
退職金の財源を確保するためには、計画的な積立が不可欠です。
多くの中小企業では、月々の給与から天引きして積立金を準備する方式が採用されています(あるいは会社が積立金として別途管理する方法も)。
税務面でも、退職給付引当金の積立が認められている場合があり、将来の支払いに備えた財務管理として有効な手段です。
中小企業にとって、退職金制度の導入は「コスト」だけでなく「人材定着」や「企業ブランディング」にもつながる重要な制度です。ただし、導入には資金計画や制度選定の判断が必要であり、安易にスタートすることは避けるべきです。
さきがけ税理士法人では、専任の担当者がつき、経営者の相談相手として日常的なサポートを提供します。税金のことだけではなく、人やお金、お取引に関することなど何でもお気軽にご相談ください。