COLUMN

コラム

今月のセカンドオピニオン

役員報酬の減額

銀行取引を考えると、できる限り黒字決算が望ましいところ。どうやって黒字化するか?


こんにちは。黒川税理士事務所の黒川です。

今月は知り合いの士業の方からのご紹介で、融資に悩む製造業B社様に伺い、

セカンドオピニオンとしてのアドバイスをしてきました。


銀行対策を考えると決算書は黒字にしたいそうですが、今期は赤字になりそう・・・、

でもなんとか黒字で締めたいとのこと。


 【B株式会社状況概要】

業種・・・製造業    

売上・・・約2億円 

業績・・・今期は赤字になりそう   

従業員数・・・15名


■社長へのヒアリング


業績は厳しく、顧問税理士以外のアドバイスも聞きたいとのことで

弊社にセカンドオピニオンのご依頼をいただきました。


社長から聞き取った内容をまとめると、下記のように厳しいものでした。

・予想を超える売上減少となっている

・売上減少のせいで、今期は赤字になりそう

・今後の融資申込がどうなるか不安


■セカンドオピニオンとしてのアドバイス

銀行とのお付き合いをしっかりとしていきたい、というのが社長の考えでした。

そのためには、今期は黒字決算で締めたいとのこと。

決算書を拝見しお話を聞くと、固定費の経費削減等はしっかりとやってあるようです。

材料費や外注費の削減についてもやっているとのことでしたが、

支払時期や支払方法、内製化等の検討はまだのようで要検討です。

材料費や外注費については、まずは内製の検討であったり、

取引先との交渉が必要ですからある程度の時間がかかります。

そこで、即効性を求める社長へご提案したのが、

役員報酬の減額です。(100万円/月を50万円/月へ減額)

業績不振の際には、最初に社長が責任を取るのが当たり前です。

とは言うものの、役員報酬は税務上の規制が強く、期中に役員報酬を減らすのは厳しいのが問題です。

ちなみに税法上、役員報酬を減らしてもペナルティゼロなのは下記の場合と定められています。

①業績不振につき株主から経営責任を問われた

②銀行とリスケ交渉をしている

③取引先等利害関係者から信用を維持・確保するため役員報酬の減額が必要


こういった場合に限り、役員報酬を下げてもOKとなっています。

しかし、上記にピッタリと該当しないからと言って、役員報酬を減らさずに赤字決算を組み、

融資が受けられず会社が潰れては笑えません・・・

税法を言い訳の材料にし役員報酬を下げないのも変な話です。

税務の話は顧問の税理士先生が頑張ればいい話。

(役員報酬の減額は税務調査では色々と突っ込まれると思いますので・・・)

私たちも豊富な事例を持っています。

税務調査で指摘された際の反論材料はいくつか用意しています。

税務よりも経営。まずは経営者としてどうするかが大事ですね。

ただし、融資には個人の財産状況、保証人、担保なども関係してきますので、

実行の際にはメインバンクの担当者さんと相談するよう

おススメしました。

決算は赤字より黒字の方がいいのは当たり前なのですが、融資の審査はそれだけではないですからね。


銀行の担当者さんとのコミュニケーションも大事です。


■結果


「今期は赤字だな・・・」とあきらめムードだったのですが、

黒字化のめどがつき、社長はやる気を出されていました。

「役員報酬は期中に変えてはダメ」という固定概念があるので、

役員報酬の減額は盲点だったようです。

盲点になっている部分を改めて新しい目で見ることができるというのは、

セカンドオピニオンだからこそできることかもしれませんね。

※守秘義務の関係上、実際の企業様情報を一部変更してお伝えしております。

黒川税理士事務所ではセカンドオピニオンのご相談を積極的にお受けしております。

お近くに気になる方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけくださいませ。