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コラム
中小企業のタックスプランニングは、会社の税金だけを見ていてもダメです。
所得税と住民税、場合によっては相続税といった社長個人の税金もしっかり見なければなりません。
こんにちは。税理士の黒川です。
今月はお客様からのご紹介で、建設業Y社様に伺い、
セカンドオピニオンとしてのアドバイスをしてきました。
【D株式会社状況概要】
業種・・・建設業
売上・・・2億円
業績・・・大幅な赤字
従業員数・・・9名
■セカンドオピニオンの準備
会社にお伺いし、まずは10分ほど直近の決算書と申告書を拝見しました。
拝見し、まず目についたのは、役員報酬です。
こちらの会社では社長が年間で約1,200万円の役員報酬を取られていました。
それ自体は問題ないのですが、過去の赤字の累積が多額にあり、
かつ、社長から会社への貸付(役員借入金)も多い。
役員報酬を取るものの、会社のお金が足りなった場合、
社長は会社にお金を入れるということが積み重なり相当の額になっています。
要は会社の業績にふさわしくない額の役員報酬をとっていたのです。
決算書に役員借入金が表示されるときは、
役員報酬が過大でないかどうかチェックしなければなりません。
こちらの会社の場合、明らかに役員報酬の額は多すぎて
無駄な税金が発生していました。
役員報酬が過大であるということは、
その役員報酬に課税される所得税と住民税も大きくなります。
会社にお金が無くなるなら、役員報酬として取らなければいいのに・・・、
という状態です。
結果、所得税、住民税を無駄に支払っていました。
■セカンドオピニオンとしてのアドバイス
役員報酬をゼロにすることをご提案しました。
収入がゼロになるので、所得税と住民税もゼロになります。
そうすると、会社の方では役員報酬という経費が無くなりますので、
その分の利益が出ます。
しかし、その利益は過去の赤字の累積と相殺され、法人税は発生しません。
またそうしないと、過去の欠損金も期限が切れ消えてしまうという
もったいないことが起きるところでした。
社長の生活費などを賄うお金は、社長が過去に会社に入れた
お金を返してもらうことでまかないます。
このようにすることで会社における社長からの借入金は数年で消えます。
また会社では利益が出るので、決算書の見た目が良くなります。
中小企業は会社≒社長の場合が多いので、
このように会社と社長個人の状態を見てタックスプランニングをすべきです。
この試算をするかしないかで本当に大きな税額が変わってきます。
社長と会社の税金バランス、欠損金の有効活用など基本的なことなのですが、
意外に書籍などでは紹介されません。
それだけに見落としがちなので、要注意です。
■結果
この方法を数年続けることを試算すると、税額として1,000万円以上の
メリットを享受できるようでした。
社長は「こんな方法もあるんですね!」とのこと。
この方法はぜひやってみるとのことで、
こちらもお伝えした甲斐がありました。
役員報酬の額については、「前からそうだから」
と変化があまりない場合が多いようです。
そのあたりの改善に切り込めるのも、セカンドオピニオン
だからこそできることかもしれませんね。