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税務調査への対応策

税務調査ではよく交際費が指摘対象になりやすいと聞くけど本当?

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税務調査といえば個人事業主や経営者にとって避けては通れない壁ですよね。
その中でもよく話題に上るのが「交際費」です。
事業のために使ったもの、という一応の決まりはあるもののその線引きがなかなか見えづらく、経費で落としていいのか判断に困るような出費を目にすることも多々あると思います。
そこで今回はこの厄介な交際費について解説していきたいと思います。

◎交際費を不安視する原因は、その曖昧さにある

最初に申し上げたいこととしては、税務調査において交際費だけがとりわけ詳しく調べられるということはありません。
他のさまざまな出費と同じ扱いで調査されるので、きちんと常日頃から記録をとり、用途を明らかにしておけば特別な心配は不要です。
では何故、交際費を不安視する経営者が多いのでしょうか。
それは私的な交際と、事業での交際の境目や金額の限度が曖昧だからです。

しかし大抵の場合、しっかりとその費用が事業に必要であったことの説明ができれば税務調査でも咎められることはありません。
例えば気心知れた取引先の担当者との会食費や高級ブランドのバッグを贈答用に買ったときの購入費を交際費として計上したとしましょう。
会話の内容が友達同士の飲み会同然だったとしても、あるいはそのバッグが少々値の張るものだったとしても、業務上必要なものだったと税務調査官を納得させられればよいのです。

と言うより、そもそも領収書を引っ張り出してまで交際費を詳しく調べられることはそれほど多くありません。
同じ支出の中でも仕入れや人件費の方が圧倒的に多額のため、優先的に調べられるからです。
しかし逆に言えば額の大きな交際費は調査官の目を引きます。
具体的には、1回の取引で6桁を超えると何かしらのつっこみが入ると覚悟しておいてください。

◎交際費だからと無駄に恐れる必要はない

ただ、正当な交際費であれば慌てる必要はありません。
粛々と聞かれたことに答えていけば大丈夫です。

先ほどの高級ブランドのバッグを例に考えてみましょう。
このようなバッグは10万円以上のものも多いですから、これを交際費として計上していた場合には指摘を受ける可能性が高いです。
調査官としては、交際費にかこつけて自分用や奥様へのプレゼント用に買っていないか、あるいは通常の贈答において10万円を超える品を送るというのはあまり考えられないことなので、何か裏があるのではないかと勘ぐっているわけです。
そこでその値段のバッグでなければならなかった理由、例えば会社で主催したビンゴ大会の景品用に購入した、というようなことを説明すればいいわけです。
景品ならば高額なものを用意するのも道理ですので調査官は納得するでしょう。

状況によってはその景品を獲得した人物の名前も求められるかもしれません。
そうした場合でもきちんと相手の名前と勤めている会社名、そしてその会社と付き合いがあることを証明する、と求められたことに対応していけば問題はありません。

それから多くの経営者が迷うポイントとして、取引先の関係者の分の飲食費も交際費に計上していいのか、というものがあります。
例えば、
「会社近くのファミレスで普段打ち合わせをしているが、その日は取引先のお子さんも一緒に来た。
普段お世話になっているからお子さんの分も出してあげたいけど業務には直接関係ないし……」
こういった事例が考えられます。

ファミレスのレシートには行った人の人数まで書かれている場合がありますから、「大人2 子供1」という記載から調査官の目に留まるわけです。
先ほど6桁を超えないとなかなか指摘は受けないといいましたが、同じ店に行っている回数が異常に多いと、休日にも家族で行っているのでは?と不審に思われてしまいます。
そんなレシートに子供が同行していたことが記載されていたら状況的にはアウトですよね。
しかしこれも心配要りません。
他の日付の分も提出し、その日に取引先のお子さんが来た経緯と普段は関係者の分まで支払っていないことを証明できれば何も問題はありません。
これからこのような場面がきたときには安心して支払ってあげてください。

このように交際費というのは会社全体の収支で見れば小額の取引なので、調査官が重箱の隅をつつくような粗探しはしません。
もちろん処理能力の高い調査官に当たってしまった場合には数千円の交際費から調べられることはありますが、きちんと説明できるだけの証拠をそろえておけば大丈夫です。
交際費だからといって必要以上に自重して交際費とすべきところを計上しない、交際費の税務調査対策に無駄な時間を掛ける、といったことは全く必要ありませんよ。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。