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コラム
たとえば、個人事業主時代に使っていた個人の通帳があるとします。
あるケースでは、法人に入金されるべき売上が、この個人通帳に入金され、法人の売上計上が漏れていたため、役員賞与だろうと指摘されました。
まあるケースでは、交際費などの経費の一部が個人的な経費ということで役員賞与と指摘されました。
これらのケースは、会社として指摘されたような意図はないのですが、役員への個人的な利益供与にあたるとして役員賞与に当たると否認されました。
しかし、これらを「役員賞与」として否認されると、法人税の計算上で次のようなリスクを負うことになりかねません。
●経費にならない(重加算税になることも多い)
●消費税を課税されることもある
●個人の側では源泉所得税の対象になる
このような指摘を調査官から受けたときに参考にしていただきたいのが、国税不服審判所の裁決です。
これによると、以下の事実がある場合には、役員への給与(臨時的なものは賞与)になるとされています。
①役員が何らかの形で経済的利益の供与を受けた
②その役員の所得では説明できない純資産の増加や消費した事実がある
そしてこの①と②についての立証責任は、ともに税務署側にあります。
ですから税務署に対して、「これらを満たさない限り、役員賞与だとして否認することはできないはずだが、立証できるのか」と主張することが大切です。
役員賞与とみなされるのに、そうならなかった事例というものもあります。
これは、「役員への個人的な利益供与」が、「役員賞与」ではなく、「役員への貸付金」とされたというものです。
会社からの給与で個人資産や消費をすること、会社からの貸付金で個人資産の購入や消費をすることは、どちらも成り立つものです。
しかし、「役員賞与」と「役員貸付金」では納税額に大きな違いがあります。
税務調査官の立場からみれば、「役員賞与」として否認したほうが、法人税、重加算税、源泉所得税などが課税できるということになります。
とはいえ、この事例から、会社からのお金などが役員個人に臨時に移動し、さらにそれが個人的な資産の購入、消費に使われていたとしても、必ずしも役員賞与になるわけではないと分かります。
もし、役員賞与ですよと否認されたときには、いずれも有効な反論材料になるので覚えておかれるといいですね。
※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。