COLUMN

コラム

税務調査対応の基礎知識

個人の税務調査

納税者がきちんと正しく納税しているかを税務署が直接調べに来る「税務調査」。税務調査と聞くと多くの方は企業や法人などを思い浮かべるかと思いますが、実は個人に対しても行われています。

そこで今回は、なかなかイメージのしにくい「個人を対象にした税務調査」について、解説をしていこうと思います。

◎どんな人に税務調査は来るのか

税務調査は個人に対しても行われていますが、納税している人全員が税務調査を受ける可能性がある、というわけではありません。それでは、どんな人が税務調査の対象になるのでしょうか?

税務調査というのは納税者の自主申告によって支払われた税額と実際に支払われるべき税額との間で相違がないかを調べるためのものです(もし相違が見つかったら、本来払うはずだった税額に追加で、罰金的な性格を持つ付帯税を支払うことになります)。

ですから、税額を申告する必要のない納税者、つまり確定申告の必要がない人には税務調査というのはやってきません。

それでは確定申告をする必要のない人というのは、どのような人達を指すのでしょうか。まず安心していただきたいのは、一般的なサラリーマンならマンション購入や相続など特別なことがない限り、確定申告及び税務調査の心配はしなくても大丈夫ということ。

なぜなら、一般的なサラリーマンの場合

・年収が2000万円以上である

・副業によって年間20万円以上の所得がある

・兼業などにより複数の会社から給与を受け取っている

等の条件に合致していなければ、確定申告の必要はないからです。

今まで確定申告をしたことがないという方は、自分がこの基準に当てはまっていないか、もう1度よく確かめてみましょう。

自分がこの条件に当てはまっていてすでに確定申告をしている、という方は次回以降もきちんと申告し、また間違った税額にならないようにミスのない申告を心がける。確定申告が必要だったにも関わらず申告してこなかったという方は、なるべく早く税務署か税理士に相談して指示を仰ぐ。

そうしないといつか税務調査がやってきたとき、いきなり高額な税金の支払いを課せられることになってしまいます。

◎個人と法人では税務調査って違う?

次に、一般的にイメージされる企業や法人での税務調査と個人への税務調査の違いを見ていきましょう。

規模も記録の量も、当然大幅に異なる企業と個人。しかし、申告書と実態を見比べておかしなところがないかを探っていく、というところは同じです。

多くの場合、調査官はまず調査対象者の近況のヒアリングから進めていきます。

ヒアリングと言っても雑談のような雰囲気、ペースで進められていくことがほとんどなので、たまに油断して余計なことまでしゃべってしまう方がいます。

しかし相手は税務調査官。不正やミスを見つけるために来ているのだということを忘れないようでください。

例えば最近高級車を買ったという話や、お金のかかりそうな趣味をしている、などがあれば「結構羽振りがいいみたいだな」と調査官が推測するきっかけになります。しかし申告されている所得が思ったよりも少ないとなると、隠された所得の存在を疑うきっかけになります。

本当に正しく申告をしているのなら問題ありませんが、それでも痛くもない腹を探られるのはやはり気持ちよくありません。このような事態を避けるためにも、税務調査では必要最低限の受け答えを徹底することが必要です。

さてそんな税務調査ですが、行われる前には「税務調査を行いますよ」という通知が電話か郵送できます。ただし、悪質な脱税が行われているという証拠がある場合には、抜き打ち調査が実施されることもあります。

一般的な税務調査では、電話に出られなかったり郵送物に気づけなかったとしても、何らかの方法でアポイントを取ってから行われるのでご安心ください。

◎サラリーマンに税務調査が来るのは、どんなケース?

先ほど確定申告が必要になる条件をいくつか紹介しましたが、いずれも普通にサラリーマンとして生活していたら当てはまりそうにないものです。しかし、自分でも気づかないうちに実は「副業」をしていた、というケースは今では珍しくありません。それは、ネットオークションです。

携帯電話ひとつで簡単に出品が出来るため、ネットオークションを副業と意識していない方がいるかもしれませんが、「物品を仕入れて」「他人に売る」という行為は立派な副業です。ですから、ネットオークションによって年間20万円以上の所得を得ている場合には、確定申告が必要になります。

例えば引っ越しや結婚などで家財道具を一式オークションに出品すると結構な値段がつくことがありますが、このように自分が自覚していないうちに確定申告が必要になっている、というケースもありますのでご注意ください。

もし自分に確定申告が必要なのかわからない、という場合やいきなり税務調査の通知が来たけどどうすればいいの?という方は、なるべく早い段階で税理士までご相談ください。依頼者様にとってベストな方法でお手伝いさせていただきます。


※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。