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税務調査対応の基礎知識

確定申告をしないと何が起こる?リスクと併せて紹介します。

テレビや新聞などのニュースで耳にすることのある「無申告」。
でもその実態は、なんとなく「確定申告をしていないことなのかな?」くらいの認識ではないでしょうか。
そこで今回は、無申告とは何かと言うところをもう少し詳しく、そして無申告の場合に発生するリスクについて紹介していこうと思います。

無申告とは確定申告を済ませていない状態のこと

初めに、無申告を一言で表すならば、「確定申告をしていない状態」のこと。
これは一般的な認識でOKです。
では次に、なぜ確定申告をしなければならないのか、と言うところを考えていきましょう。

日本では、1年間商売をしたら決算をしてその結果を明らかにしなければならない、ということが法律によって定められています。
この理由は、日本が申告制の税制を取っているから。
通常税金というのは利益、つまり売り上げから経費を引いた数字に対してかけられるのですが、ならば当然この利益が確定しないことにはいくら納税するべきかも確定しませんよね。
そしてこの、「税金をいくら払うべきか」という計算は、税制が申告制であるがゆえに、自分たちでやらなければなりません。
わかりやすく言えば、この自分たちで計算して利益を確定させる、という行為が決算であり、決算で確定した利益を申告するのが確定申告なのです。
よって、なぜ確定申告をしなければならないのかと言えば、きちんと納税をするため、ということになります。

ちなみに確定申告の時期は決算日の2ヶ月後と定められています。
決算日は会社によって自由に決められるので、会社ごとに異なったタイミングで決算、確定申告を行うことになります。
個人事業主や副業で20万円以上の収入がある場合の確定申告は、毎年3/15が確定申告の期限となります。

申告しないとどんなリスクがある?
確定申告がきちんと納税するためにあるということは、確定申告をしないときちんと納税ができない、ということになります。
日本国憲法では国民の三大義務の一つに納税が挙げられているので、最も大きな枠組みで言えば「無申告は憲法違反」と言えるでしょう。

実際に法律でも、無申告に対する罰則が、本来払うべきだった税額に応じて加算されていく追徴課税という形で定められています。
無申告で課される可能性のある追徴課税は重加算税と無申告加算税のどちらかで、その2つのうちで重い方が重加算税です。
本来の税額に最大40パーセントの税金が追加されるので、場合によっては本来の税額の2倍弱にまで膨らむこともあり得ます。
ただし、通常重加算税というのは意識的に脱税を図った場合のみ適用されますので、無申告の場合には本来納税すべき金額の50万円までは15パーセント、それ以上に対しては20パーセントが課税されていく無申告加算税が適用される場合がほとんどです。
「無申告も意識的な脱税ではないのか」と思われるかもしれませんが、ここで大切なのはそこに「隠したい」という意図があったかどうか。
「架空の人件費を経費に計上していた」、「売り上げの一部を隠していた」というのならば、そんなことは無意識で出来ることではないので疑いの余地なく意図的と断定できます。
しかし「申告しないで納税を免れよう」という意図から意識的に確定申告をしなかった人であっても、実際にメモなどを残していない限りはその立証は難しく、「単純に忘れていたから」という理由が通用してしいます。

ただ、これは最初からそうだというわけではありません。
重加算というのは税務調査官自身の査定にも響く重要なポイントなので、最初は調査官も重加算税を課そうとしてきます。
しかし、上記のような理由から、この無申告が意図的であるという事の根拠についてこちらから説明を求めれば、たいていの場合説明できないので、その判定は覆されます。
つまり、無申告に重加算税がかけられない、というのは結果論であり、この結果を勝ち取るためには税務調査官との「交渉」を経なければならないのです。

ただ、もちろん意図的に無申告の状態を続けることはNG。
無申告はいつか絶対バレるものだからです。
そちらについては以下の記事で解説しています。
どんなきっかけで税務署は無申告に気づく?パターン別に紹介します。

たとえ無申告加算税だけだとしても追徴される金額はとても大きいものです。
「今更面倒だな」と感じてしまうのであれば、税理士に依頼することも視野に入れてみてください。

ちなみに無申告にかかわる追徴課税にはもう1つ、延滞税と言うその名のとおり税金の納付が遅れた日数に対してかかるものがあります。
こちらは重加算税と無申告加算税のどちらがかかるかを問わず適用されるので、納付が遅くなればなるほど税額が膨らんでいくことを忘れないようにしましょう。


※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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