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事業承継の流れと基礎知識

承継に係る贈与税が納税猶予されてたが、猶予要件を満たさなくなった場合はどうなるか②贈与税限定の納税猶予の取消事由

前回は、納税猶予の継続適用要件のおさらいと、納税猶予制度の要件を満たさなくなった場合の贈与税・相続税共通の納税猶予の取消事由についてお伝えしました。20項目とかなり多くの項目があるので、きちんと把握しておくことが大切です。
今回は引き続き、贈与税限定の納税猶予の取消事由と、取消事由に該当した場合の注意事項についてご紹介します。

◎納税猶予の継続適用要件(おさらい)

納税猶予の継続適用には、相続税および贈与税の法定申告期限から5年間、または後継者の死亡の日のいずれか早い日まで経営承継期間とし「事業継続」と「全株保有」することが必要になっています。そしてその充足確認が、経済産業大臣への報告および税務署への届出を経てなされます。ただし、先代経営者の死亡に伴い贈与税の納税猶予から相続制の納税猶予に切り替わった場合には、贈与税の申告期限から5年間という経営承継要件を満たせば、相続税の納税猶予の際にさらに5年間の経営承継要件を求められることはありません。

◎贈与税限定の納税猶予の取消事由

事業承継円滑化法施行規則9条において、この「事業承継」「全株保有」を満たさず贈与税の納税猶予が取り消される事由が定められています。贈与税限定の納税猶予の取消事由は以下2項目と少ないですが、贈与税限定だからこそうっかり把握し損ねていたということになってしまわないよう、注意しましょう。
①先代経営者が代表者もしくは役員に復帰したこと
②認定の有効期限までに先代経営者の相続が開始した場合に、相続税の納税猶予制度の適用を受けるために経済産業大臣の切替確認を受けていないとき

◎取消事由に該当した場合の注意事項

納税猶予制度はあくまでも「納税猶予」を受けることができるものです。猶予の要件を満たさなくなれば、その時点で猶予されている税額と利子税を納付しなければならず、長きにわたって猶予されている場合には、それだけ利子税も増えてしまいます。事業継続要件は厳しく、解散や倒産、増資や減資にも留意が必要となるので、気をつけてくださいね。
また、相続開始から5年を経たずに後継者が経営に行き詰ってしまった場合、後継者自身も納税猶予税額等を納付する余裕がなくて行き詰るケースや、5年経過後においても自社株の保有継続要件のため、M&Aなどによる自社株換金のチャンスを損なうこともあります。これらも留意が必要ですね。
ただし、事業継続期間中に他社により吸収合併された場合については、一定の条件の元で合併先の会社に認定を承継することができます。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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