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事業承継の流れと基礎知識

代表者が所有している貸家を会社に賃貸している場合の、将来的な選択肢

前回まで、相続を考えている現経営者の自宅の土地と建物の名義に絡んだ話をしてきましたが、今回は現経営者個人で所有している貸家がある場合についてご紹介します。例えば、現経営者個人で所有している貸家(土地および建物を所有)を会社に賃貸している場合、将来的なことを考えるとこの貸家をどうすればいいのか、どのような選択肢があるのでしょうか。
貸家は、湖の岸にあり観光スポットも徒歩圏内、電車や車の交通の便も良いという、とりわけ立地の良いところに所在しています。最近は別荘地としても利用は減少してきましたが、比較的人気のある場所です。その場合、主な選択肢として以下の3つが考えられます。

①現状のまま現経営者個人が会社に賃貸する場合

この場合の問題点は賃貸料と補修費です。建物は当然老朽化しますので補修の必要が生じてきますが、この負担は現経営者です。最近は社員も低廉で利用できる保養所よりも、設備が整ったリゾートホテルを好む傾向がありますので、年間の利用回数は必ずしも多くはなくなるでしょう。補修費はかさむのに賃貸料が高く取れないのはよい状況とは言えませんよね。

②貸家を賃貸している会社に譲渡する場合

この場合は賃借人である会社が買い取るわけなので、この状とは市場を通して売却するわけではなく適正な評価額を算出する必要があります。土地および建物を賃貸している場合には、鑑定評価では貸家およびその敷地と分類されます。

この場合は評価方法は、賃貸料の実質賃料のうち準賃料を収益還元して算定します。賃貸料が対象不動産の土地および建物の価値を反映したものと考えられるからです。収益価格を標準としますが、合わせて積算価格(再調達を想定してこれに経年の減価修正を加えた、さらに観察による原価額を控除して求めます)を比較考量して求めます。

③貸家に第三者に売却する場合

貸家は、湖の岸にあり観光スポットも徒歩圏内、電車や車の交通の便も良いという、とりわけ立地の良いところに所在しています。最近は別荘地としても利用は減少してきましたが、比較的人気のある場所です。よって単に別荘地だけでなく永住することもできるため、これらの需要もあると考えられます。

この場合、仲介業者に依頼して不動産市場を通して売却することになるので当然仲介手数料が必要で、売却までの期間は3カ月程度が目安です。別荘地の場合は需要が必ずしも多いわけではないので想定の期間よりも多く要する場合もあり、また希望する金額で売れるとは限らないことも念頭においておきましょう。


※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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