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事業承継の流れと基礎知識

会社が土地を持ち代表者が上物を持っている場合の、代表者による土地購入と会社による上物購入の評価の違い②

前回は、現経営者個人が土地を会社から購入する場合をご紹介しました。今回は会社が現経営者から建物を買い取る場合をみてみましょう。

◎会社が現経営者から建物を買い取る場合

①借地権価格+建物価格

建物を購入する場合、借地権が設定されている建物を売買することになり、価格は「借地権価格+建物価格」ということになります。この場合にも借地権が第三者に売買される場合と当該底地所有者に売却される場合で異なります。当該底地所有者に売却する場合には、土地は使用収益の制限がない完全な所有権となりますから、第三者に売買される場合に比べて市場性の回復、すなわち経済価値の増分が生じ、これを加算することとなります。

②建物価格の算定

まず、建物価格は経年により劣化しますが、維持管理を丁寧にしているか否か、あるいは使用状態の善し悪しにより価格が異なります。
鑑定価格では、税務上適用される「法定耐用年数」ではなく、経済的にみてどの程度の期間価値を有するか「経済耐用年数」を用いて計算します。住宅の場合では木造、軽量鉄骨ともに躯体部分が25年~30年、仕上げ部分が15年~18年、設備が15年程度です。
建物価格では、標準建設費からこれらの経年減価価額を控除したうえで、さらに維持管理、使用状態の良否で観察減価額を算定して、この金額を控除して建物価額を算出します。

③借地権価額の算定

不動産算定評価額基準では、借地権の取引慣行がある場合とない場合に分けて規定しているので、今回は借地権の取引慣行がある場合として紹介します。
借地権価額は、新規に借地をする場合に支払う通常の地代に比べ、実際に支払っている地代が低ければ、その差額分は借地人の利益になりますので、その類型分が借地人の経済価値を形成すると考えられます。これが借地権価格を構成するとみているのです。

また地域によって借地権割合、すなわち借地人の占める権利の割合が慣行として形成されている場合のありますので、これを斟酌するようにして規定しています。
賃料差額から収益価格を求める方法とは、具体的には対象地の更地価格に期待利回りを乗じて公租公課等の諸経費を加算して新規の地代を求め、これから実際の地代額を控除して地代差額を求めて、これを資本還元するのです。


※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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