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事業承継の流れと基礎知識

遺言や死因贈与による後継者への事業用資産譲渡の注意点②

今回は遺言や死因贈与によって資産を譲渡する場合に注意すべき点についてご紹介します。遺言や死因贈与は、いずれも遺言者の死亡によって承継の効力が生ずる制度ですが、現経営者が元気なうちに計画的に行う必要があることは、売買や生前贈与による場合と同じです。

◎遺言や死因贈与のメリット

遺言や死因贈与は遺言者や贈与者が死亡するまで効力が生じないため、それまでは自由に何度でも変更や撤回をすることができます。事業承継の観点からみてみると、現経営者にとっては後継者にしようと思っていた人物がふさわしくないことが発覚した場合などには後から変更できるため、遺言や贈与計画の際にそれほど迷わなくて済むというメリットがあります。よって後継者を最終決定しかねている場合などにもいいですね。

◎遺言や死因贈与のデメリット

一方で、遺言や死因贈与は実際に権利関係が移転するのは現経営者の死亡の時からなので、遺言作成時には思いもよらない事態が発生し、実際に現経営者の意図した通りに資産が承継されるか心配な面もあります。また現経営者が死亡するまで経営権を持ち続けることが前提となるので、判断能力が低下した際に適切な経営判断がなされるのかという点でも不安が残ります。

◎遺言書には種類がある

遺言を残す場合、遺言書には大きく分けて「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」3つの種類があります。3つの特長については以前ご紹介しましたが、自筆証書遺言は自分で作成するものなので、自由に変更・撤回できる反面、形式的要件を満たさない場合には無効になってしまう可能性があるので要注意です。それが心配な場合は、公証人によるチェックが期待でき裁判所による検認も不要で、公証人役場で安全に確実に保存される、公正証書遺言を利用するのがいいでしょう。

◎遺留分に要注意

遺言や死因贈与は、生前贈与と同じように遺留分による制約があります。遺留分とは、相続財産のうち一定の相続人に法律上、必ず残しておかなければならないとされている一定の割合をいいます。兄弟姉妹以外の相続人、すなわち配偶者、子および直径尊属(孫や曾孫など)は遺留分を有します。これらの者の遺留分を侵害する贈与・遺贈は、遺留分減殺請求権が行使されることによって、遺留分の限度で効力を失います。次回でもご紹介するので参考にしてみて下さい。


※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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