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事業承継の流れと基礎知識

売買や生前贈与による後継者への事業用資産譲渡の注意点

売買や生前贈与による後継者への事業用資産譲渡の注意点をご紹介します。

①基本は現経営者が元気なうちに

売買や生前贈与は現経営者の生前に後継者に事業用資産を承継させる方法です。どちらにしても大切なのは「現経営者が元気なうちに計画的に行う」ということ。例えば経営者が病気や加齢により判断能力の低下が発生すると、後々売買や贈与の効力自体が問題になってしまいます。またそういった問題が発生した時点から、円滑な事業承継を行うことも難しくなります。

②事業用資産を売買によって譲渡する場合

この場合、もっとも問題になるのが後継者が事業用資産を買い取るだけの資金を準備できるかということ。これがクリアできれば事業用資産の承継において最も確実な方法といえるでしょう。ただし特に親族間での承継を考えている場合には、譲渡の対価を決定する際に事業用資産の評価を厳格に行わずに、時価よりも低い価格で譲渡するということが往々にしてあるでしょう。こうした場合、時価との差額について贈与と評価されてしまう可能性があります。
したがって、事業用資産を後継者に承継させるために譲渡する場合は、第三者の専門家に鑑定を依頼するなど客観的評価をしたうえで、適切な対価を決定することが重要になります。

③事業用資産を生前贈与によって譲渡する場合

この場合、一度にすべての事業資産を承継者に贈与してしまうのは、現経営者がまだまだ元気なうちは抵抗があるかもしれませんね。また贈与は売買と違って無償ですので、一度に資産を失うという面からも不安が残ることもあるでしょう。

◎段階的な移転等の工夫を
現経営者に抵抗や不安がある場合には、一度にすべての資産を贈与してしまうのではなく、贈与契約で一定の条件を設けて段階的に権利を移転させるたり、一定期間をかけて徐々に贈与していく等の工夫をしましょう。しかし現経営者が突然亡くなったり、判断能力を喪失したりした場合にはその後の対応が困難になってしまいます。

◎書面による贈与契約のメリット・デメリット
こういった現経営者の突然の万が一を考えると、可能であれば当初の贈与契約で段階的に権利を移転する旨を定めておく方が、円滑な事業承継という点では安心できるでしょう。なお贈与契約を書面で行うと、贈与者であろうとも自由に撤回することができなくなります。そのため、遺言や死因贈与に比べて権利関係を早期に確定させ後継者に資産を継承させることができる方法なのです。

◎遺留分に注意
生前贈与は遺留分による制約を受けます。あらかじめしっかりと他の遺留分権利者の遺留分を配慮した贈与を計画しないと、現経営者が予定していた通りに資産の承継が進まなくなることもあるので要注意です。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。