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コラム
今回は前回に引き続き、遺言等がなく法律に従って財産が相続された場合に、事業の承継に生じうる影響と対策をご紹介します。
◎事業用不動産の所有者が現経営者(被相続人)の場合のデメリット
会社の建物等事業に使用している不動産(事業用不動産)が現経営者(被相続人)の名義である場合、現経営者が相続について何の対策もせずに亡くなってしまうと、この事業用不動産も相続人が相続することとなります。そのため遺産分割協議が整うまで全相続人の共有となります。
民法上、不動産を含めた「物」の所有は単独所有が原則と考えられているので「共有」は例外といえます。したがって共有者はいつでも自分の持ち分について共有物の分割請求をできるのです。共有物の分割請求は、まず共有者間での話し合いになりますが、話し合いがまとまらない場合には裁判所に共有物分割請求の訴えを提起することができます。そのため、すべての共有者がその不動産を今まで通り事業利用することに同意していれば問題ないのですが、例えば1人でも多用途や私的に使用したいと言い出せば、共有物分割請求がなされる可能性があるのです。
1.現物分割…実際に共有物を分割して共有者がそれぞれ単独所有となる方法。(裁判による分割の場合の原則となる)
2.換価分割…所有物を売却して、その対価を共有者で分配する方法。(例外的な場合が多い)
3.代償分割…共有者の一部が共有物を取得し、他の共有者には持ち分に応じた代償を支払う方法。(2.よりもさらに例外的な場合が多い)
事業用の建物の共有物分割請求がなされると現物分割が原則となり分けることができないので、換価分割で建物自体を売却してから対価を分配するか、後継者が建物を取得し代償を支払うかしか選択肢がなくなる可能性があります。よって今まで事業で使用していた建物や土地が使えなくなったり、代償支払いのための資金を準備する必要があったりと、事業の継続に大きな支障がきたすことになります。
1.会社または経営者(後継者)が他の共有者の持分を買い取る
→完全に共有関係を解消することができますが、会社または経営者(後継者)が買取りのための資金の準備が必要となります。
2.共有者の合意のもと会社に現物出資する
→完全に共有関係を解消することができます。
3.経営者等の持分のみを現物出資する
→依然として共有物分割請求のリスクがありますが、現に一部が会社に現物出資されているという事情をくんで、代償分割が認められる可能性が考えられるので、共有関係を存続させるよりは事業に与える影響が小さくなるでしょう。
※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。