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コラム
今回は、遺言等がなく法律に従って財産が相続された場合に、事業の承継に生じうる影響をご紹介します。
例えばAさんは会社を経営しており、90%の株主でもあります。家族は妻や子供2人(長男・長女)がいます。会社の事業承継のことなど最近考え始めましたが、まだまだこれといって対策をし始めているわけでも、遺言を残しているわけでもありません。この状態でもしAさんが不慮の事故等で急死してしまい、法律に従って相続された場合、事業の承継や経営に何か不都合が生じるのでしょうか。そして相続の問題が生じることなく事業を承継するためにはどのような対策をとっておけばよいのでしょうか。
Aさんが保有するすべての株が妻や子供たちの「準共有」状態になります。割合としては、妻が2分の1、長男が4分の1、長女が4分の1を保有する状態が生じることになります。このような所有権以外の権利を共有することを「準共有」といいます。
このような株式の準共有状態での一番の不都合は、Aさんの場合原則として持ち分の割合に従いその過半数をもって共有者である妻、長男、長女の3人の中から権利を行使する代表者を1人定めて会社に対して通知しない限り、その株式については権利行使をすることができないということです。つまり妻、長男、長女の3人は一心同体。3人とも1人では過半数を占めるわけではないので、それぞれが対立して自分の主張をした場合は代表者を決めることができず、権利を行使することができないのです。
3人が同じ意見や方針でスムーズに代表者を決められれば問題ないのですが、何かで対立してしまえば迅速な経営は難しくなってしまいます。
中小企業においては、経営者個人が会社に対して貸付金債権を有している(経営者個人が会社に対して個人資産の中から貸付をしている)場合が想定されます。貸付金債権は預貯金の債権等と同様に金銭債権ですから、被相続人が亡くなった時点で、各相続人の分配分に応じて当然に分配され承継されます。したがって各個人がそれぞれに会社に対して貸金の返還請求ができるということになるのです。
そうすると、これまでは会社の代表取締役であった現経営者が会社の経営を考慮して貸金の返済を求めてこなかったのに、会社の経営状態を知らなかったり後継者を快く思っていない相続人が、貸金の返還を求めるという事態も考えられます。そうすると会社の債務として現実化し、たちまち経営を圧迫するという事態に陥ってしまいます。
※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。