COLUMN

コラム

事業承継の流れと基礎知識

事業承継はいつからどんなことを考えておくべきか

今回は事業承継の考え方と事業継承にかける時間についてご紹介します。
残された人間に迷惑を掛けたくなければ、事業承継には事前の対策が必要です。しかも相当な時間をかける必要があります。

①後継者の候補は?

まず、あなたの周りに後継者になるべき人物が見当たるでしょうか。それは単に事業を継いでくれそうな家族や子供がいるかどうかという意味ではありません。その家族や子供に事業を継ぐ意欲や能力があるかという意味です。継いでくれそうな家族や子供がいても、本人にその意欲がなかったり、また周りからその能力がないと判断されてしまえば、結局会社を潰すことになりかねません。

②事業承継の道筋をどのように考える?

次に、後継者に対して「事業(会社)の経営権(支配権)を確実に継承させることができるかどうか」を考えなければなりません。社長個人の資産(例えば社長名義の不動産)を事業用の財産として提供して、会社が使用している場合は多くありますが、そのときに社長個人の資産を後継者に引き継がれなければ、事業の根幹をなす事業用財産が使えず事業が立ち行かなくなる事態も想定されます。
さらに「相続税が支払えるのか」という問題もあります。統計では中小企業の経営者がもっている資産(個人名義の資産)の3分の2は、会社の株式と事業用の資産(特に不動産)であるといわれています。膨大な相続税に対して税金を支払うことができないと、事業用の資産を切り売りしなければならない可能性があるのです。

③事業承継にかかる時間は?

後継者の候補者に後継者に相応しい人物になってもらうには、一朝一夕にというわけにはいきません。また相続税対策についても、相続税が極力かからないようにするにはどうすればよいか、逆に相続税に充てる資産をどう確保するのか、ということを時間をかけて検討しておく必要があります。
一般的には事業承継の対策は10年、最低でも5年が必要です。もしあなたが例えば65歳までに社長を退きたいと考えていたとすると、それまでの年月を逆算して様々な対策にかける時間の見当がつくでしょう。事業承継の対策は、早ければ早いほどいいのです。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。