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事業承継の流れと基礎知識

株式の後継者への集中が困難な場合に、他株式の議決権を制限する方法 ②無議決権株式以外の方法

前回は、株式の後継者への集中が困難な場合に、他株式の議決権を制限する方法として、種類株式の活用と無議決権株式についてご紹介しました。今回はそれ以外の方法を3つご紹介します。

◎拒否権付き種類株式(黄金株)の発行

黄金株とは、株主総会または取締役会で決議すべき事項のうち、その決議のほか種類株主総会の決議を必要とする株式で、これを1株保有していれば種類株式総会の決議で拒否できます。黄金株を発行する場合には、定款で次の事項等を定め、登記をする必要があります。
①株式総会等の議決事項のうち、その種類株式総会の決議を必要とする事項(例えば「株式総会・取締役会の決議事項のすべてについて、種類株主総会の決議を必要とする」と定めることで、黄金株を保有していれば経営に関するおよそすべての決議事項について拒否権を発動できるようになります)
②その種類株主総会の議決を必要とする条件を定める時は、その条件、発行可能種類株式総数

◎取締役・監査役選任付種類株式の発行

取締役・監査役選任付種類株式は、委員会設置会社でない非公開会社のみが発行できる株式で、種類株式総会において取締役または監査役を選任する権利を有した株式です。したがって取締役会設置会社ですべての取締役・監査役の選任権を有する株式を1株所有しておけば、経営権を集中することができます。取締役会・監査役選任付種類株式を発行する場合には、定款で次の事項等を定め、登記をする必要があります。
①種類株主総会で取締役または監査役を選任することおよび選任できる人数
②①の事項を変更する条件がある時は、その条件および条件が成就した場合における変更後の①に揚げる事項

◎属人的種類株式の発行

属人的種類株式とは、株式を取得する者が誰かによって株式の内容が変わるという株式で、具体的には定款に「代表取締役である株主が、議決権のすべてを有するものとする」という規定を定めて、取締役会後継者を就任させることで、その後継者は全議決権を有することになります。
この方法によると、属人的種類株式の発行の定款変更することに反対の株主による株式買取請求権の適用もありませんので、その点においては後継者に議決権を集中させる手法としては優れていると思われます。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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