COLUMN

コラム

決算書の作り方・ひな形

決算書の作成について

すでに何期にもわたって決算書を作成してきた経営者様や個人事業主様なら、決算書を作るのにかかる労力というものを十分に把握されているはずです。
しかし、これから初めて「自身で決算書を作成していこう」という方にとっては、決算書という言葉が意味することはもちろん、その作成に当たりどのような知識が必要なのか、すら分からないというのが実情だと思います。
そこで今回は、決算書の基礎知識や作成に必要な労力の紹介を通して、経営者様や個人事業主様本人が決算書を作成することの意味を探っていこうと思います。

◎自分でやるなら簿記の知識は必須

まずは決算書という言葉の意味から見ていきましょう。

決算書という言葉自体はすでに広く使われていますが、じつはこの言葉は「損益計算書」や「貸借対照表」などの「財務諸表」の総称であり、「決算書」という単独文書が存在しているわけではありません。
いくら「決算書」という書類の例などを検索しようとしても出てこないので注意してください。

では次に決算書の役割について。
決算書の持つ役割は、財務諸表の総称であることからわかるように、その会社や個人の経営状態を明らかにするところにあります。
つまり、「経営のかじ取り役となる経営者様や個人事業主様が、自身で決算書を作成する」ということはその期の経営がどうなっているかということを「自分の目」で確認し、より良い経営を進められる、という意味においてとても有効です。

ただ、そのメリットを享受するためにはかなりの時間や労力を払わなければいけないのもまた事実。
ご自身で決算書を作成するという行為のデメリットについて、具体的に見ていきましょう。

決算書を作成しようと思った場合、少なくとも簿記の知識がないと何も始まりません。
簿記というのは簡単に言うとお金の出入りを記録していくことであり、現在では一般にその記録に必要な知識を問う資格のことを指して言います。
決算書の作成にはこの知識が欠かせません。
とはいえ簿記1級などの高度に専門的な知識が必要なわけではなく、3級程度の知識でも問題はありません。
「次期の決算書は自分で作成しよう」と思っているのなら、まずひととおりの簿記の知識を頭に入れることから始めましょう。

次に必要になるのが「慣れ」です。
知識のインプットはもちろんですが、水泳のテキストをどんなに読み込んでもすぐに泳げるようにはならないのと同じで、「その知識をどのように利用・活用していくのか」ということを、実体験を通して経験として積んでいかなくてはなりません。
実際、簿記1級を持つ税理士であっても、初めて決算書の作成に取り組んだ時には戸惑うものです。
このように簿記資格を得るための試験や知識と実務は違うので、たとえ学校などですでに簿記を学んだことがある場合であっても、きちんとした決算書をある程度スムーズに作成できるようになるまでにはそれなりの時間がかかってしまいます。

◎決算書を作って終わり、では済まないのが決算

先ほど決算書の役割で、その期の経営状態を明らかにするという事を挙げましたが、決算書には「確定申告のための素材」という側面もあります。
確定申告とは納めるべき税額を確定させるために行うものですが、そのために必要になるのは、簡単に言うと「その年にどれだけの利益があったか」ということ。
これは決算書を見ればわかることなので、決算書をもとに税額を確定させていくのです。

ただこの確定申告もかなりの曲者。
詳細な説明は別の機会にいたしますが、経費や控除など専門知識が必要な場面も多く、決算書作成と同様素人が行うのはかなりの時間と労力が必要になってきます。
ほぼ知識のない状態の経営者様が調べながら決算書作成+税額の確定までをやろうとした場合、どんなに規模が小さいとしても最低1週間はかかってしまうものなのです。

会社のトップが本業以外のことに1週間かかりきりになるか、多少費用がかかったとしても税理士に任せるか。
果たしてどちらの方法が自分に合っているか、ということをよく考えてみることが大切です。