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決算書の作り方・ひな形

中小企業会計指針における「固定資産」の会計処理の扱い

固定資産の取り扱いについて、中小企業会計指針では次のように定められています。

①減価償却を規則的に行うこと
②減損会計を一部導入したこと
③圧縮記帳の処理の明確化
④ゴルフ会員権の評価


まず、①減価償却を規則的に行うこと、について説明したいと思います。

固定資産の取得原価を毎期配分し、期間収益と対応させる手続きのことを減価償却といいます。有形固定資産の場合は、定額法や定率法によって、規則的に減価償却が行われます。

法人税法では、減価償却は任意であり、損金経理を行い、かつ、償却限度額までしか、損金に算入されないとされています。
このため、税法を意識した決算書では、利益を過大に表示するための手っ取り早い方法として、減価償却の一部または全部を計上しない、という方法がとられていました。
そこで、中小企業会計指針では、適正な損益計算のために、「経営状況により任意に行うことなく」という表現で、規則的な償却の実施を求めているということです。

また、特別償却の実施額は、会計上は特別償却準備金の積立てと取崩しで行うべきであり、当期の損益計算書に計上すべきではないとされていたのですが、税法を意識した決算書では、特別償却を特別損失に計上したり、「製造原価」や「販売費及び一般管理費」の減価償却費に含めて計上している例もありました。
そこで、中小企業会計指針は、この取り扱いを明確にし、重要性の乏しい場合を除いて、特別償却準備金の積立てと取崩しで行うべきであり、税務効果を考慮することを明示したということになります。

次に、②減損会計を一部導入とは、どのような規定なのでしょうか。

上場企業などでは、すでに減損会計が適用され、予測していなかった減損が生じた場合には、固定資産の取得原価から相当の減額をしなければならないことになっています。
減損会計基準では、時価の下落や、キャッシュフローの予測などにより将来減損の兆候がある場合には、減損の可否を検討しなければならないとされています。しかし、これらを考えることは、中小企業にとっては困難な場合が多いのですね。

そこで、中小企業会計指針では、「資産の使用状況に大幅な変更があった場合に、減損の可能性を検討する」として、減損損失の認識について、減損会計基準の取り扱いに限定を加えて適用することとしました。具体的には、(1)将来の使用見込が客観的にないこと、または(2)用途を転用したが採算が見込めないこと、かつ、(3)時価が著しく下落している場合、減損損失を認識するとされます。
なお、減損損失は税法上の損金ではないため、減損損失を計上した場合は、申告調整の対象になりますので、留意してください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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