顧問契約中のお客様は、こちらよりお掛けください。担当部署直通です。クライアント様専用お問い合わせナビダイヤル042-313-8364

決算書の作り方・ひな形

棚卸資産の取得原価と払出価額の評価は継続記録をしなくても可能。しかし評価方法の「継続適用」は必須

最終仕入原価法とは

中小企業(とくに小規模な企業)の場合、在庫管理記録まで手が回らない、というケースも多く見られます。むしろ、継続的に記録をつけている企業のほうが珍しいくらいでしょう。本来、棚卸資産は、商品有高帳などによって、商品ごとの入出庫を記録していなければならないのですが、こういうケースでは、継続記録を前提とした「棚卸資産の評価方法」を採用することができません。
そこで、継続記録を前提としない評価方法である、「最終仕入原価法」を採用することになります。これは最終に仕入れたものが期末に残っていると仮定し、期末の在庫数量に最終仕入れ単価を乗せて、期末の棚卸資産を評価・計算。それ以外を払出価額とする方法です。

法人税法では、一般的な中小企業を考慮し、最終仕入れ原価法を法定評価方法としているのですね。しかし、最終仕入れ原価法の場合、仕入価格が急騰したとき、棚卸資産が過大評価されるため、過大利益が計上されます。その結果、期間損益計算上、弊害が生じる可能性があるのですね。


棚卸資産については、どの評価方法を適用するかによって、期間損益計算の結果が異なってしまいます。そこで、一旦採用した評価方法は、正当な理由がない限り、継続適用し、正当な理由がある場合を除いて、変更できないことになっています。
これは会計上だけでなく、税務上も期の途中で変更することはできません。
評価方法を変更する場合は、期末までに税務署に変更届を提出することが必須。届出により、翌期からの評価方法の変更が認められます。

棚卸資産の期末評価について

原価法、低価法のいずれかを採用して、継続適用します。低価法というのは、期末棚卸資産の時価と取得原価を比べて、時価が取得原価より低い場合には、時価を適用するという方法です。世界的にみても、この低価法がメインになりつつあるようですね。

中小企業会計指針では、時価は原則として正味実現可能価額ですが、再調達価額でも可、という立場をとっています。これに対して、税務上は再調達価額としているため、会計上との差異が生じることがあるのですね。
なお、棚卸資産の評価基準として原価法を採用した場合も、期末時価が取得原価より著しく低いときは、将来回復するであろうと認められている場合を除いて、時価評価にしなければなりません。また、次のような事実が生じた場合には、評価損を計上する必要があります。これらについては、実質上の差異はありません。
①災害により著しく損傷したとき
②著しく陳腐化したとき
③上記に準ずる特別の事実が生じたとき

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

0120-964-316