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コラム
「貸倒懸念債権」は、破綻には至っていないけれど、債務の弁済に重大な問題が生じているか、生じる可能性の高い債務者に対する債券のことをいいます。
「金融商品会計に関する実務指針」では、(1)入金が1年以上遅れている場合、(2)弁済期間の延長(手形のジャンプ)の2つのケースを「債務の弁済に重大な問題が生じている」に該当するとしています。また、「生じている可能性が高い」とは、業況が低調、または不安定で、過去の経営成績または経営改善改革の実現の可能性を考慮しても、債務の一部を条件通りに弁済できない可能性が高いことをさします。
「財務内容に問題がある」とは、債務超過であるだけでなく、債務者が有する債券の回収可能性や資産の含み損を考慮すると、実質的に債務超過に陥っている状況も含むことになっています。
第一に、一般に公開されている財務諸表を入手し、それによって判定します。財務諸表が入手できない場合(取引先が上場会社以外の場合)は、帝国データバンクなどに信用調査を依頼するとよいでしょう。
財務諸表を入手したら、役員貸付金や仮払金などの有無についてもチェックを行いましょう。金融機関が「債務者が有する債権の回収可能性」を判定する場合、役員貸付金は一般的に「回収不能」、つまり価値は0と判定します。一般企業もこれにならったほうがよいでしょう。
また、土地やゴルフ会員権などは、営業する際に何気なく質問してみると、その場所や取得時期がつかめることもあり、おおよその含み損をつかむことができると思います。
このように、財務諸表は「実態バランスシート」で内容の良否を判断することが大切です。財務諸表に載っている資産が、実際にどれだけの価値があるかを調べ、その会社の状況を判断するということですね。
また、「入金差異一覧表」というものがありますが、これは取引先ごとに作成し、入金時に請求額との差異がないかどうかをチェックするものです。とくに数量や単価の差異を長いあいだ放置したり、クレームで未収になっているものを放置すると入金が困難になる場合があるので、しっかりチェックしておきたいですね。
いずれにしても、「債権の時価会計」、つまり、貸倒れの見積もりを行うと、債権管理に資することになります。不良債権の防止につながり、結果として資金面でもプラスになります。
※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。