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決算書の作り方・ひな形

「中小企業の会計に関する指針」に基づく「金銭債権」の評価

金銭債権について

中小企業会計指針では、預金、受取手形、売掛金、貸付金などの金銭の給付を目的とする債権である「金銭債権」は取得価額で評価することとされています。ただし、取得価額が債権金額を異なる場合は適正な価格によることができます。

また取得価額と債権価額との差額が金利調整の性格である場合には、「焼却原価法」によって、金利相当額を債権の期日まで、毎期取得原価に加減することが認められています。

さて、金銭債権(受取手形)を譲渡したときはどのような流れになるのでしょうか。
受取手形は金融機関で割引をしたり、取引先に裏書譲渡することができます。こうした受取手形の割引や裏書は、金銭債権の「譲渡」に該当します。取得原価と譲渡対価に差異が生じた場合は、「売却損」を計上することになるわけですね。

【ケーススタディ】

額面金額100万円の手形を銀行で割り引きました。割引料1万円が差し引かれ、当座預金に入金されました。このときの会計処理はどうなるでしょうか。

仕訳は
(借)当座預金 990,000
(貸)受取手形 1,000,000
(借)手形売却損 10,000

割引料は、「金融商品実務指針」が導入されてからは、「手形売却損」で処理されることになっています。当然、前払い費用処理することもなく、発生時の費用とされます。中小企業会計指針でも、この考え方を踏襲しています。


また、金銭債権は、貸借対照表の資産の部に表示されます。その場合、流動資産の部に表示されるか固定資産の部に表示されるかは、営業上の債権かそれ以外の債権かによって基準が違います。
売上手形や売掛金のような営業上の債権は、正常営業循環基準によって、「流動資産の部」に表示されます。ただし、破産債権、再生債権、更生債権、その他これらに準ずる債権で、事業年度の末日の翌日から起算して1年以内に弁済を受けられないことが明らかな債権は、「固定資産の部」の「投資その他の資産の部」に表示することいになります。


これに対して、営業上の債権以外の債権は、1年基準によって、事業年度の末日の翌日から起算して1年以内に現金化できると認められるものは「流動資産の部」に、それ以外は「固定資産の部」に表示されることになっています。

営業上の債権は取引先ごとに信用限度額を設定し、限度額以上に販売しないようにコントロールします。これは相手先が倒産しても、被害を最小に抑えるために必要なことですね。「信用限度額超過チェック表」を毎月作成し、管理者や経営者がチェックするようにしましょう。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。