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相続対策・相続税務の基礎知識

「相続時清算課税」による住宅取得資金贈与の仕組み

前回は相続時清算課税についてご紹介しましたが、相続時清算課税の一種に住宅取得資金贈与の特例というものがあるのを知っていますか。今回はこの住宅取得資金贈与の特例についてご紹介します。

子が親から、自己の住宅の取得のための現金の贈与を受けた場合には、通常の相続時精算課税制度と同じく2500万円までが非課税となるのです。ただしこの場合には、贈与者である親の年齢制限はなくなります。

<相続時清算課税による住宅取得資金贈与のしくみ>

・適用対象者…贈与者(親(年齢制限なし))⇒受贈者(20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む))

・適用対象財産…住宅取得のための現金に限る

・対象となる住宅等の要件…
 ◇新築  ⇒・床面積50平方メートル以上240平方メートル以下 など
 ◇中古住宅⇒・床面積50平方メートル以上240平方メートル以下
       ・築20年(耐火建築物は25年)以上、または新耐震基準等に適合 など
 ◇増改築等⇒・工事費が100万円以上
       ・増改築後の床面積50平方メートル以上240平方メートル以下 など

・非課税枠…累積で2500万円まで

・適用手続き…
 ①この制度を選択しようとする受贈者(子または孫)は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに税務署長届け出ること
 ②①の届出をした後は、相続時までこの制度の適用を継続する(取りやめはできない)
 ③この制度は受贈者である兄弟姉妹がそれぞれ、贈与者である父、母、祖父、祖母ごとに選択できる

・税額の計算…
 ◇贈与時⇒贈与財産の合計額(累計額)のうち、2500万円を超える部分について、一律20%の贈与税が課される
 ◇相続時⇒贈与財産と相続財産を合算して計算した相続税額からすでに支払った上記の贈与税額を控除する

親子の間で大きなお金が移動する理由として、住宅取得のためというパターンは非常に多いですね。「住宅取得資金贈与の特例」はまさにこのパターンで活用できる仕組みとなります。ただ、負担を減らしたいという思いでこの方法を取るのが最適かどうかはケースバイケース。納税の負担は減っても、手続きほかの負担は増える可能性があります。

親子間のお金の移動は相続と密接に関わるので、後の相続税のことも考えてトータルで事情にあった対応を考えたいもの。当事務所では、相続に関する一切の手続きについて税金面も考慮して広くサポートする仕組み「相続手続き支援センター」)を設けています。相続関連で相談されたいことがあれば、お気軽にお問い合わせくださいね。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。