相続対策・相続税務の基礎知識

相続税を調べに税務調査がやってきた!

Fotolia_79555367_Subscription_Monthly_M.jpg

申告された税額と本来納められるべき税額が一致しているかをチェックする税務調査。一般的には法人に対して行われるイメージがあるかと思いますが、実は個人に対しても行われることがあるってご存知でしたか?副業をしている方や個人事業主はもちろんですが、意外と多いのが、「相続税が発生した人」です。相続税というと一部の富裕層にしか関係ないイメージかもしれませんが、実はそんなことはありません。持ち家などの不動産や退職金などを合わせると、相続税の対象になる可能性は十分にあり得ます。

そこで今回は、相続税とはそもそも何なのかというところを簡単に触れた後、相続税を対象にした税務調査ではいったいどんなことが行われるのかを見ていきたいと思います。

◎相続税の課税対象って、なに?

相続というのは簡単に言うと、一定以上の資産を残して亡くなった方の遺産を再分配して、富の不平等を無くしていこうという税金です。家族構成や相続人の数などにもよりますが、目安として相続財産が3600万円以上になると、相続税を支払わなければならない可能性が出てきます。

ではこの相続財産というのは、何を指しているのでしょうか?一般的にイメージされるのは現金、預貯金、証券、不動産などだと思います。しかし、これだけでは不十分。お墓やお香典、公益性の高い財産など定められた項目以外は、全て相続財産の対象となります。ですからもちろん、絵画や骨董品、美術品なども含まれます。現金や証券類で保管していなくても立派な相続財産ですので、きちんと調べておきましょう。

◎相続税の税務調査、どんな家庭に来る?

後ほど詳しく述べますが、相続税の支払いが必要な場合、相続が発生してから10ヶ月以内に税務署に申告しなければなりません。自主的に相続税の額を申告する形式をとっているため、中には少なく申告して税額を抑えようとする人もいます。税務調査はこういった人たちを見つけて正しく納税させるためにあるのです。

ただ、ここで疑問が出てきます。なぜ税務署はその人が正しい申告をしていないということが分かるのでしょうか?銀行の預金残高よりも相続財産の方が明らかに少ない、というならわかりやすいですが、例えば現金で隠し持っていたり絵画に換えたりしていた場合などには、わかりそうもありませんよね。

「申告された相続税が果たして正しい金額なのか」は、被相続人(亡くなった方)の生前の年収をみて判断していきます。サラリーマンにせよ事業主にせよ、一定以上の所得を得ていたのなら確定申告をしなければなりません。税務署側は被相続人の年収を基準に、申告された相続財産が妥当かどうかを調べていくのです。(もちろん確定申告をしていない場合でも、税務署側は年収を把握することができます。)

例えば年収3000万円の経営者様が亡くなって、相続財産が合計1000万円と申告されたら、ちょっと少ないんじゃないかな?と疑いますよね。調査官はこの「ちょっと少ないんじゃないかな?」という感覚をきっかけに税務調査を進めていきます。ですから、「ちょっと少なく申告しよう」「絵画や宝飾品などを買って現金を減らしておこう」などの細工をしても、申告された年収と相続財産にギャップがあれば税務調査に入られてしまうのです。

また、よく調査官が目をつけるところとして、名義口座が挙げられます。例えば旦那さんが亡くなった際に、奥様名義の通帳に預金が入っていたとしましょう。普通に考えるとこの財産は奥様のものだと思いがちですが、その預金が旦那さんが振り込んでいたものなどの場合は、旦那さんの財産だと認定されて相続財産となるケースもあるのです。

ポイントは、奥様にその預金を貯められる能力があるかどうか。結婚以来奥様がずっと専業主婦だった場合、お金を稼ぐ機会というのはありません。にもかかわらず奥様名義の口座にそれなりの預金があった場合、調査官としては「実態は旦那さんが入金していたのではないか?」と疑うことになります。そこでお金の流れを追求していく中で、旦那さんの口座から一定額が振り込まれていたことが判明してしまうと相続財産、つまり課税対象とされてしまいます。

もちろん奥様の独身時代にためたお金であったり、奥様のご両親からの相続財産であったり、というケースならば問題ありません。しかし、税務調査官は怪しむと思いますので、もしこのような奥様名義の財産(本当に奥様が作ったことが前提です)があるようであれば、きちんと証拠を保管しておきましょう。

◎相続開始からどのくらいで税務調査が来る?

こういった税務調査は、相続が始まってからどのくらいで来るものなのでしょうか?先ほども述べましたが、被相続人が亡くなってから10か月が相続税の申告期限です。ボリュームゾーンとしては、この申告期限から半年から1年後、つまり亡くなってから1年半から2年程度の間に来るケースが多くなっています。

もちろんもっと早いケースもあれば遅いケースもあります。2年後にご近所の方から税務署にタレコミが入って、相続開始3年後に来たという例も実際にありますので、準備を怠らないようにしましょう。

もっとも、準備と言ってもよくわからない方が大半だと思います。一番簡単なのは、通帳や葬儀費用などを記録した資料をきちんと保管しておくこと。被相続人が亡くなったからと言って処分してしまうと、お金の動きが分からなくなり思わぬところで税金が発生してしまう可能性があります。

逆にこういった資料をしっかりと保管しておけば、いきなり税務調査に入られても慌てる必要はありません。税務調査が来る際には、よほど悪質な脱税が行われていない限りは必ず事前に通知がきますから、(通知方法にはいろいろありますが、相続税の税務調査はほとんどが電話です)通帳や領収書など必要な資料を整理して、お金の流れを再度把握しておきましょう。もしどうしても不安だという方は、税理士にご相談ください。相続財産の確認や、税務調査への対応も含めてお手伝いさせていただきます。また、資料などを保管していなかった場合でも、対応いたしますので一度ご相談ください。


※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

アーカイブ

ページTOPへ