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相続対策・相続税務の基礎知識

相続税の申告が必要なのは、どんな人?

所得税や消費税など、現代の日本には様々な税金がありますが、相続税はその中でも馴染みの薄い税金のひとつかと思います。一生のうちに多くても2、3回程度しか経験することがなく、その仕組みなども今ひとつ浸透していません。ただ、この税金の厄介なところは、馴染みが薄いにも関わらず、ほぼ確実にいつかは向き合わなければならない問題だという事です。そこで今回は、相続税について紹介していこうと思います。

そもそも相続税ってなに?

まず、相続税とはいったい何なのでしょうか。

資本主義社会において、どうしても解決できない問題の1つに、貧富の格差というものがあります。資本家と労働者階級からなる資本主義社会が、富めるものと貧しいものに分かれてしまうのはある程度は仕方のないことですが、しかしこの差が拡大を続けるといつかは労働者階級が反乱運動を起こしかねません。そこで政府が格差是正のために取り入れた政策が、相続税なのです。

資産家が亡くなった時、その財産を全てその親族が相続すると、お金の一極集中を解消することができません。そこで、財産を相続するときにその財産に対して税金をかけて、一旦国が徴収、徴収したお金を国民に分配することで、富の再分配による格差是正が図ろう、というものが相続税という制度です。

申告する必要があるのって、どんな人?

上記の原則に則れば、相続税は資産を持っている人にしか関係ないものであるように感じます。ただ、具体的な基準が分からなければ、自分が対策を打つべきなのかどうかわからないと思いますので、一応の目安となる課税対象となる遺産総額の計算式を提示いたします。

「課税価額の合計額-基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額」

ここで大切なのは自動的に課税対象から外される、基礎控除額。つまり「3000万円+600万円×法定相続人の数」です。単純に考えれば、法定相続人の数が1人なら3600万円、2人なら4200万円より多くの遺産があれば、相続税を支払う必要があるということです。逆に課税遺産総額の計算結果が0以下になるのなら、相続税は発生しないのです。

ただ、忘れてはならないのが、この課税価額の合計というのは、現金だけの合計ではないという事。例えば一般的なサラリーマン家庭であっても、首都圏にマイホームを持っていたり、貸し出し用のワンルームマンションを所有していたりしてそれを相続する場合には、相続税が発生する可能性が十分に考えられます。また、ありがちなのが退職金。千万円単位の退職金をもらったけど年金だけで賄えていたので手を付けなかった、という場合にも、現金資産が増えていることになるので、相続税が発生する可能性があります。もちろん代々続いている地主さんや、企業の経営者さんは言わずもがなです。

気を付けなければいけないことは、現金以外の資産にかかる税金であっても、納付は現金で行わなければならないという事。土地や株式を相続する場合でも、税金は全て現金で支払わなければならないのです。しかし、土地や株式の保有量と現金の保有量は必ずしも一致しません。相続税が払えないからと代々守ってきた土地を泣く泣く手放してしまった、といったケースも発生し得ます。

ただ、こういったケースでは祖父母の代、両親の代と相続税の支払いを経験する中でノウハウが蓄積されていくので、初めて相続をする人に比べれば相談できる人も身の回りに多数いるはず。そこまで心配しなくても大丈夫でしょう。懇意にしている税理士や銀行もいるはずですので、不安に思ったら気軽に相談してみるのも手です。

逆に心配しなければいけないのは、会社の創業者、株・FX、最近では仮想通貨など、一代にして財を築いた人たちです。こういった人たちの場合、ノウハウがないので相続に関しては全くの素人。にも関わらず相続税は莫大になるので、節税対策や面倒な手続きなどを含めると大幅に損をしてしまう事も。特に節税対策は生前にしかできないことが9割とも言われています。より効率的で無駄のない、円滑な相続のために、早いうちから税理士に相談しておきましょう。


※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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