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相続対策・相続税務の基礎知識

相続税が払えない!?固定資産の交換特例の適用例

相続税の資金をどうやってつくるか

相続を受けた時、よく問題になるのが「相続税の資金をどうやってつくるか」ということです。今回は固定資産の交換特例を適用して資金をつくる例をご紹介します。

例えば、父が亡くなり相続を受けましたが、相続財産は自宅をはじめほとんどが不動産だったとしましょう。相続した不動産は自宅敷地以外はいずれも活用の余地があると思われるので、物納もしたくないと考えています。そういった場合、納税資金がなく困ってしまうことがありますよね。そこで母が以前から所有している宅地(遊休地)を売って、その売却代金を私の相続税に充てたいと考えているのですが、その方法は有効でしょうか。

この場合、一番有効かと思われるのが、母が所有している土地と交換した後に、売却することです。母がその所有する土地を売却して、子が負担すべき相続税を支払った場合には、①母についての譲渡税 ②子についての贈与性が生じてしまいます。

母所有の土地と自宅敷地の交換


そこでまず、母所有の土地と自宅敷地(時価に差がある場合には持分)とを交換します。母については「固定資産の交換特例」により譲渡税は生じません。子については、交換取得資産を交換後すぐに売却することから「同一の用途に供した」といえず、その交換について「固定資産の交換特例」は適用できず、譲渡税が生じます。
ただしこの譲渡所得の計算上、「相続税の取得費加算」の適用を受けることができますで、場合によっては譲渡所得が生じないケースも考えられ、譲渡代金の金額を相続税の納税に充てることができます。


なお、交換取得した宅地の譲渡については、短期譲渡とはなるものの、交換時の時価で取得し、まもなく時価で売却することなるため譲渡益は生じません。

また物納申請がされていれば、その申請財産と母の土地とを交換し、転得財産として物納する方法も考えられます。さらに今回、母が取得した自宅敷地(持分)については、母の相続時に小規模宅地評価減の対象にすることで、相続税の軽減を図ることもできます。

相続がいざ発生した際に困る方が多い「どうやって納税用のお金を用意するか」。今回のケースのように、不動産ばかりという場合、その不動産を今後どうしたいかという相続する側の将来設計もした上で、お金を作るか物納にするかなど考えることになりますね。しかし、さらに言えば、事情に応じた納税・節税手段を知っていてこそ、正しい判断ができます。当事務所では相続にお悩みの方向けに、専門機関「相続手続き支援センター」を設けています。相続のお悩み・不安に対する答えをご提示できますので、お困りの際はお問い合わせください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。