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相続対策・相続税務の基礎知識

遺産分割協議が申告期限までにまとまらなかった場合に相続税はどうなるか

今回は、遺産分割協議が申告期限までにまとまらなかった場合の、相続税の扱いについてご紹介します。

例えば、昨年Aさんの父が亡くなり、現在相続人間で遺産分割協議中ですが、なかなか話がまとまりません。相続税の申告期限も迫っているのですが、申告期限までこのまま分割協議がまとまらない場合、相続税はどうなるのでしょうか。

この場合、もし申告期限までに遺産分割が決まらないときは、未分割の状態で相続税の申告をすることになります。未分割財産については、各相続人がそれぞれの相続分に応じて相続したものと仮定して、相続税の計算をし、各相続人がそれぞれ相続税を納付することとなります。そして遺産分割がまとまってから、再度相続税の申告をし直します。

◆未分割は不利

未分割の場合の相続税の計算では、配偶者の税額軽減と小規模宅地評価減がいづれも使えませんので、本来の税額よりも多くなります。しかしこれらの特例については、申告時に申告期限後3年以内の分割見込書を提出し、3年以内に分割がまとまって再度申告すれば、その時に適用することができます。
このように未分割の場合には、納付すべき相続税が多くなってしまい、かなり不利になってしまいます。

◆相続対策で本当に大切なこと

遺産分割がまとまらない場合には、10年以上もかかるケースも多々あります。税金でも不利になり、精神的にも負担が多くなってしまいますよね。最終的に遺産分割がまとまっても、遺恨が残るケースも多くあります。
相続対策といえば、つい「相続税の節税」と考えがちですが、本当に大切なことは以下の3つです。
①遺産分割対策(きちんと分けやすくする)
②相続税の納税資金(物納を含む)対策
③相続税の節税対策

スムーズな遺産分割ができなければ、そして申告期限までに相続税の納税ができなければ、せっかくの節税対策も無駄になることもあります。
Aさんの場合もなるべく早く遺産分割がまとまり、無事申告期限までに納付できるといいですね。

蛇足ですが、相続については骨肉の争いなどといわれることもあるように、お金が絡むためなかなか一筋縄ではいかないこともあります。また適切な処理を行わないと、税金の額が過剰に膨らんでしまったり、後で追徴課税を受ける恐れもあります。悲しみに暮れつつも税金対応を粛々と進めるためにも、専門家をぜひ頼ってください。相続に関する様々な手続きのご支援を行う「相続手続き相談センター」がありますので、ご不安な点があればまずはご相談くださいね。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。