顧問契約中のお客様は、こちらよりお掛けください。担当部署直通です。クライアント様専用お問い合わせナビダイヤル042-313-8364

相続対策・相続税務の基礎知識

団体信用保険付き住宅ローンは債務控除の対象となるか

今回は、団体信用保険付き住宅ローンの債務控除の対象についてご紹介します。

例えば、Aさんの夫が亡くなり、自宅の取得にかかる住宅ローンが3000万円ありましたが、団体信用生命保険に加入していたため、その保険金で相殺されました。この場合、相続税の計算上住宅ローンと団体信用生命保険の保険金の取扱いはどのようになるでしょうか。

※団体信用生命保険とは…融資を受け、返済途中に被保険者が死亡あるいは高度障害状態になった場合、保険金でローンの残額が返済される仕組み。住宅ローンに付くものが典型的な形態ですが、その他のローンに付保するものもあります。

◎通常の場合

相続開始時の住宅ローンの残債は、被相続人の債務として債務控除の対象になります。その一方で被相続人が保険料を負担していた生命保険は、その相続による「みなし相続財産」として相続税の対象になります。そしてその生命保険金のうち「500万円×法定相続人の数」の金額が非課税とされます。

◎団体信用生命保険の場合

・被保険者…夫(債務者)
・保険金受取人…銀行(債権者)
・保険金額…保険事故発生時における住宅ローンの残額
とされていますので、相続人は何も手にすることなく、相続開始と同時に保険金が銀行に支払われ、住宅ローンは消滅してしまいます。「相続人がいったん保険金を受け取り、それを住宅ローンの返済に充てる」というものではありません。
生命保険金が相続人に支払われれば「みなし相続財産」ですが、支払われないのでこれには該当しません。
また債務控除の要件は「相続開始時において確実な債務」とされていますが、この場合相続と同時に消滅しますので確実な債務とはいえず、債務控除の対象になりません。

このため、このケースの相続税の申告では
 ①生命保険金は相続財産に加算しない
 ②住宅ローンは債務控除しない
 ③単純にその自宅を相続財産として評価する
ということになります。

日常生活において税務処理と縁がある方はごくごく限られるものです。しかし、ある程度の資産を持っている親族がいる方は意外といらっしゃるもの。すると相続税の対応という形で、突然見知らぬ税務処理に向き合わなくてはならなくなることは意外と多くあります。特に2015年1月1日の制度改正により、相続税がかからない遺産額が大幅に減ったことから、相続税対応をする必要がある方も増えました。また、遺産相続の際は、税務面の手続き、保険・年金の手続き、各種名義変更の手続きといった様々な手続きが発生します。これら相続に関する全般について少しでもご不安があれば、「相続手続き支援センター」でサポートできますのでお気軽にご相談ください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

0120-964-316