COLUMN

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資金調達の基礎知識

会社を運営するための資金調達~銀行からの融資~

新しく会社を立ち上げ、運営するために必要なもの。
それはズバリ、「運営資金」です。
全て自己資金でまかなえるのが理想ですが、理想はあくまで理想。
収入が安定しない設立初期を自己資金だけで乗り切れる、という人はそんなに多くないでしょう。

しかしお金がないことには、せっかくの素晴らしいアイデアも活かすことができません。
節約は美徳ではありますが、初期投資ができない経営状態では、よいサービスや製品ができることはないのです。

そこで大事になってくるのが、「資金調達」です。
さまざまな方法がありますが、今回は銀行による融資について解説したいと思います。

◎銀行はお金を貸してくれるのか?

銀行からの融資にハードルの高さを感じている人は少なくないのではないでしょうか。
中には、会社設立の先輩から「銀行はなかなか貸してくれないよ」という話を聞いている人もいるかもしれませんね。

しかし、「創業融資」という言葉もあるくらいですので、会社を設立したばかりでも融資を受けることは可能です。
特に政府系の金融機関である日本政策金融公庫からの融資は、比較的受けやすいと言われています。

とはいえ、日本政策金融公庫でも、100%審査が通るというわけではありません。
来る人全員にお金を貸すわけにはいかないので、ある程度厳しく審査を行っています。
もし審査に落ちたら、会社や経営の計画に何かしらの問題があると考えてよいでしょう。
そのような烙印を押されるわけですから、審査に落ちたときのことを考えて怖気づきそうになるかもしれません。

しかし選択肢を幅広く持っておくことは、円滑に経営するためにも非常に重要です。
「何が何でも融資を通す!」という熱い思いを持って望めば、結果の好転につながることもありえます。
もちろん、そのような根性論だけでは通る融資も通りません。
では銀行からの融資に必要な要素とは、一体どういうものなのでしょうか?

◎融資の審査において見られるポイント

銀行からの融資の審査において見られるポイントは、4つあります。

①個人の信用
当たり前のことですが、信用がない人間にお金を貸すことはできません。
それは創業融資に限らず全ての融資に共通することです。
例えば自己破産等の債務整理の履歴があったり、さまざまな支払いにおいて延滞を発生させたりしたことがある場合、審査に影響が出ることがあるのです。
一度でも支払いが滞った履歴があるのであれば、融資の返済に渋滞が起こるかもしれない、と考えられるのは当然のこと。
少なくとも2年間は支払いの滞りを起こしていない状態で、融資の審査に臨んだ方が無難です。
もちろん絶対に審査に通らなくなるというわけではありませんが、融資を断られる理由の一つになりうることは知っておくべきでしょう。

②事業計画
会社の運営にあたり、現実的な事業計画を立てているかどうかも、重要な要素の1つです。
設立当初は夢見がち、とまでは言いませんが、ある程度の希望や見栄を持って臨みたくなってしまうもの。
それらを詰め込んだ事業計画は、確かに夢と熱意には満ち溢れているかもしれませんが、現実に即していなければそれはただの「夢」です。
夢にお金を貸してくれるほど、銀行は甘くありません。
地に足のついた事業計画書を作成するようにしましょう。

③自己資金
自己資金がないから創業融資を申し込むのに、自己資金が重要な要素なのか?と思う人もいると思います。
しかし自己資金は、「いかにその事業に対して本気であるか」を測る指標です。
本当に熱意があるのであれば、会社設立のために必死に資金を貯めるべきである、という見方がされているということですね。
具体的に自己資金がいくら必要か、という明確な指標はありませんが、1円でも多く貯めておく、という意識を持つことが大切です。

④経験
ここで言う経験とは、「会社設立の経験」ではありません。
そもそも会社設立経験が多い人は少ないでしょう。
では何の経験かというと、「その事業分野に関する仕事の経験」です。
例えば飲食店を開こうとしているが、今まで食品を扱う仕事はしたことがない。
小売店を開こうとしているが、取り扱う製品関係の仕事はしたことがない。
特に融資に精通している人でなくても、「どうしてその分野で起業しようと思ったのか?」という疑問が出てくると思います。
もし未経験の状態で始めるのであれば、納得させられる明確な理由を用意しておく必要があるでしょう。