COLUMN

コラム

資金調達の基礎知識

融資の際にチェックされる決算書のポイント③ 流動負債・固定負債

銀行が企業の実態を把握するためのポイントとして、「流動負債」「固定負債」の項目があります。
今回はそれらについて取り上げてみましょう。

負債の部分について粉飾が行われるケースというのは少ないと思います。
まれに、借入金(銀行融資)の残高を粉飾するケースも見受けられますが、銀行取引の観点からみれば、もっともやってはいけない粉飾ですので、間違いのないようにしておきたいものです。

◎支払い手形、買掛金

仕入債務が適正なボリュームで計上されているかどうかという点がチェックポイントとなります。
その際、仕入債務回転期間という指標を確認されることになります。
これは支払い手形や買掛金などの仕入債務が何カ月分残っているか、ということを示す指標です。

仕入債務回転期間が短いということは、仕入債務を支払う期間が短いことを指し、資金繰りが苦しいと見られます。逆に仕入債務回転期間が長ければ、支払いの期限が長いわけですから、資金繰りにも余裕があると見えますね。

ちなみに売上債権回転期間よりも、仕入債務回転期間のほうが短いと、売上金の回収よりも先に支払いをしなければならないので、資金繰りが厳しい会社であると判断されます。
逆に、仕入債権回転期間のほうが長ければ、売上金を回収した後に仕入債務を支払うことができるので、仕入にかかる運転資金は必要なくなるというわけです。

この2つと、棚卸資産回転期間をみることによって、銀行は取引先企業が必要とする正常な運転資金の金額を把握しています。

◎役員借入金

多くの中小企業の経営者(社長)は、大株主であり代表取締役なので、銀行からも「社長=会社」と見られています。

この判断からすると、「役員借入金≒資本金」と判断することもできますね。
実際、銀行の査定において、役員借入金が社長からの借入れや親族などの役員からの借入れで、借りっぱなしになっており、実態として「出資」に近い状態であれば、それは資本金としてみなせると判断するケースもあります。

ただし、「代表者などが返済を要求することが明らかとなっている場合にはその限りではない」としていますので、あくまでも返済を要求しない場合に限り、資本金として見ることができます。
役員借入金は、多くの場合、短期借入金として計上されていますが、役員借入金は実態として、借入期間が長期化しているため、長期借入金とするべきケースが非常に多いのです。
自社のケースが短期借入金に計上するのか、長期借入金に計上するのか、判断に迷うときは、税理士など専門家に相談してみるとよいでしょう。

新規融資の獲得を目指していて、既存の借入金もあるのであれば、財務資料の正確性を高めると共に、既存借り入れが与える印象を踏まえて融資申込資料を作ることが重要です。
ですので、税務と融資獲得に強い税理士事務所にご相談してください。
事業融資のエキスパートがいる税理士事務所なら、財務面のチェックはもちろん、金融機関への印象も考慮して、適切な融資獲得のサポートができます。
当事務所も元銀行員の事業融資のプロが在籍。
完全成功報酬制の「事業融資獲得支援」サービスを行っているので、ご興味があればまずご相談ください。

※記事に含まれる情報は、記事作成時点のものとなります。