COLUMN

コラム

資金調達の基礎知識

中小企業向けの資金調達の3つの方法と基礎知識

中小企業の資金調達の方法として代表的なものは、①間接金融(融資)②直接金融③助成金・補助金の3つです。
まずは、それぞれの特徴をみていきましょう。

①中小企業の資金調達の要「融資」
〈公的融資〉
日本政策金融公庫など政府系金融機関による融資や、信用保証協会による信用保証がつく融資、自治体が関係する制度融資などが、公的融資にあたります。
公的融資は、経済環境などによって(例:リーマンショックを契機とした金融危機による景気後退など)融資条件が変更されるので、常に最新の情報を得て対応する必要があります。
また、自治体によって制度の内容が異なるのも特徴のひとつです。

〈民間融資〉
銀行、信用金庫、信用組合など民間の金融機関による融資(プロパー融資)です。
公的融資に比べて金利が高い傾向にありますが、信用保証協会の保証枠の影響を受けず、融資限度額の設定もないので、比較的自由度が高いというメリットがあります。
民間の金融機関から融資を受ける場合、いきなり長期融資を狙うのではなく、まず比較的短期のものからトライし、実績をつくることをお勧めします。
納税資金など明確な使途があり、短期の借入から(返済期間6カ月程度)実績をつくっていくことで、長期のプロパー融資を獲得できるようになっていきます。

②プロパー融資を補う「直接金融」
金融機関を通さずに、直接、個人や企業から資金を調達する方法です。
代表的なものは、証券取引です。
債権や株式を企業が発行し、投資家に購入してもらうことで資金を直接調達します。
日本では、間接金融のほうが直接金融より高い割合となっており、特に中小企業においては、直接金融はややハードルが高いといわれています。
銀行に頼る傾向が強いのが現状ですが、経営者としては、銀行に頼らずに資金調達する方法も知っておきたいもの。
あくまでも中心は金融機関からの融資ですが、それを補うものとして、直接金融の知識もおさえておきたいですね。

③返済不要の資金「助成金・補助金」
国や自治体などが給付している返済のいらない資金です。
「助成金」は、基準を満たせば原則として受給できるものですが、種類が多く内容を把握するのが難しいという側面もあります。
最新の情報を獲得することが重要ですが、専門家(助成金を得意とする社会保険労務士など)との連携で、対応するとよいでしょう。

「補助金」は、新商品の開発や技術研究を行う企業、異業種へ進出する企業など、革新的なことを行う会社を補助する制度です。
要件を満たせば受給できる助成金に比べ、審査にも通らなければいけないので、難易度が高いといえます。
資金調達の基礎知識として、金融機関の種類と特色をおさえておきましょう。
金融機関には大きく分けて、民間金融機関と政府系金融機関があります。

◎民間金融機関

〈銀行/都市銀行〉
最近ではメガバンクと呼ばれることが多く、首都圏、中京圏、近畿圏を中心に全国的に展開する銀行です。
メガバンクの融資金利は、地方銀行、信用金庫などの中小金融機関に比べて、融資の際の金利が低いですが、比較的ボリュームの大きい案件を優先する傾向があり、融資申込金額が小さい場合は、やや不利といわれています。
創業期の会社や規模の小さい会社にとっては、メガバンクと取引するメリットはあまりないと考えてよいでしょう。

〈銀行/地方銀行〉
地方銀行と第二地方銀行に大別され、それぞれの本店所在地のある都道府県を中心に店舗展開をしています。
メガバンクと比べると、プロパー融資の標準金利は0.5%ほど高い傾向にあります。

〈信用金庫・信用組合〉
信用金庫や信用組合は、中小企業の銀行取引においては、非常に身近な存在です。
●信用金庫・・・地域の個人、法人が会員となって、互いに地域の反映をはかる相互扶助を目的としています。
        融資取引ができるのは、原則として会員が対象となります。
●信用組合・・・正式名称を「信用協同組合」といい、いわゆる中小企業が集まってつくる「協同組合」と同じく、組合員の出資による協同組織の非営利法人です。

預金や融資の取引ができるのは、原則として組合員を対象としています。

融資の中心は、信用金庫・信用組合ともに、信用保証協会による保証付き融資です。
企業規模が大きくなってくると、信用金庫・信用組合のみでの取引では、資金調達の手段として不十分な面が出てくるということもあります。

〈ノンバンク〉
銀行や信用金庫など以外の金融機関で、貸金業務を営む金融系会社をノンバンクといいます。
信販会社、クレジットカード会社、消費者金融会社、事業金融会社、リース会社などがこれにあたります。
金利が高いので敬遠されがちですが、効果的に活用することで企業の力をつけることもできるので、専門家のフォローを受けながら活用することも視野に入れておくとよいでしょう。

◎政府系金融機関

〈日本政策金融公庫〉
民間の金融機関から融資を受けにくい中小企業や、創業期の会社、これから起業する人などへの融資を積極的に行っています。
銀行など民間金融機関より金利が低いのがメリットですが、メインバンクとしてではなく、あくまでも補完的な存在として活用されることが多いですね。

※記事に含まれる情報は、記事作成時点のものとなります。