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資金調達の基礎知識

融資の際にチェックされる決算書のポイント⑤ 会社の安全度を判断する指標

今回は、決算書のチェックポイントのうち、会社の安全性を判断するための代表的な指標について取り上げてみましょう。

◎自己資本比率

自己資本比率は、総資産に占める自己資本の割合を示す指標で、会社の安全性を測る指標の代表的なものです。

自己資本比率=自己資本÷総資産×100

自己資本比率が高いほど、負債(他人資本)に頼らず、自己資本で経営していることになり、安定した経営ができていると判断できます。
自己資本比率は、一般的に30%をめざすことが目安といわれています。

では、自己資本比率を上げるにはどうしたらよいのでしょうか。

利益を出すか増資をして自己資本を多くする方法、分母である総資産を小さくする方法の2つがあります。総資産を小さくするというのは、不動産などの高額な資産をもたないようにし、必要のない資産をできるだけもたないようにすることです。たとえば社屋や工場などを所有していれば、それだけで総資産は大きくなりますから、売却して売却資金で負債を減らし、所有から賃貸とすれば、総資産は減るというわけです。

◎流動比率・当座比率

企業の短期的な安全性を測る指標のひとつです。流動比率=流動資産÷流動負債×100

1年以内に返済すべき負債である流動負債を、1年以内に換金可能な資産である流動資産がどのくらいカバーしているかを示したものです。この比率が高いほど、短期的な資金繰りにゆとりがあるといえますね。

流動比率は一般的に200%以上が理想とされていますが、100%以下の場合、1年以内に換金できる資産よりも、1年以内に返済する負債のほうが多いことになり、1年以内に資金ショートを起こす可能性ありと判断されることを意味します。

また、流動比率をさらに厳しくみたものが当座比率です。当座比率=当座資産(現金・預金、売掛金、受取手形)÷流動負債×100一般的には、当座比率は100%以上であることが望ましいとされています。

◎固定長期適合率

企業の長期的な安全性をみる指標です。固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100

この数字は、100%以下であることが望ましいとされています。100%を超えている場合は、長期で運用する資産を資本金と長期借入金という長期間に運用できる資金でまかないきれず、短期の借入金で補っていることになります。日本の現状を考えた場合、長期的な安全性を測るには、長期借入金も考慮した固定長期適合率でみることが適当であると考えられています。

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