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資金調達の基礎知識

銀行やそれ以外のスタートアップ資金調達の方法

スタートアップにとっての資金調達は、事業の成長を加速させるうえで重要な要素です。資金調達としては、ベンチャーキャピタルによる出資や銀行からの融資など、さまざまな方法がありますが、資金調達を円滑に進めるためには、企業の成長フェーズに応じた手段を取ることが不可欠です。今回は、スタートアップに必要な資金について、また銀行やそれ以外の外部資金調達の方法について詳しく解説していきます。

◎スタートアップに必要な資金とは

創業期の企業にとって必要な資金は、大きく以下の2種類に分けられます。1つ目は、プロダクトやサービスの開発資金、設備やオフィス環境の整備や採用、人件費などにかかる初期投資(イニシャルコスト)。2つ目は、広告やマーケティングの販売促進費用、サーバー費用・各種ツールの利用料、給与や家賃などの固定費にかかる運転資金(ランニングコスト)です。

また、スタートアップはその性質上、短期間で事業を成長させる必要があるため、将来的な事業拡大やスケールアップを見据えた資金確保も欠かせません。

◎主な資金調達手段

資金調達方法には、以下のようなものがあります。それぞれの特徴を理解し、企業の状況に応じて適切に使い分けることが重要です。

・ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは、成長性の高い未上場企業に対して投資を行い、将来的な株式上場やM&Aによるリターンを目的とする投資機関です。スタートアップにとって、ベンチャーキャピタルからの出資は単なる資金調達手段にとどまらず、経営面での支援やネットワークの提供といった副次的な価値も大きなメリットになります。資金だけでなく経営全体を加速させる「伴走者」としての役割を果たします。ただし、ベンチャーキャピタルとの関係性は長期に及ぶことが多いため、相性や方向性の一致も非常に重要です。

・銀行融資

銀行融資は、スタートアップにとって「資本を希薄化させずに資金を調達できる」手段として重要な選択肢のひとつです。特に、一定の事業実績が出始めたら、融資を活用することでキャッシュフローの安定化や、ベンチャーキャピタル依存からの脱却にもつながります。銀行はベンチャーキャピタルとは異なり、「確実に返済できるか」という返済能力と事業の安定性を重視します。そのため、資金使途の明確性や財務計画、キャッシュフローの見通しや保証人・担保の有無など、説得力のある資料を整備することが求められます。

・補助金・助成金

スタートアップにとって、補助金や助成金は返済不要の貴重な資金源です。特に創業初期では、事業立ち上げのコストを抑えるうえで有効な手段となります。活用できる制度は多数ありますが、申請にあたっては要件やスケジュール、採択率などを十分に理解したうえで戦略的に準備することが重要です。特に、採択後に実績報告が必要なケースや採択から補助金給付までに時間がかかる場合があるので注意しましょう。

なお、補助金の受給額が一定以上になる場合、課税対象となるケースもあるため、税務処理上の注意点も併せて確認する必要があります。

成長フェーズごとに、必要な資金は大きく変わります。そのため、単に調達手段を知っているだけではなく、タイミングや資本政策、税務への影響も加味した資金戦略を立てることが重要です。

また、資金調達はゴールではなく、事業を成長させるための“手段”にすぎません。調達した資金を「どう使うか」、そして「どう成果につなげるか」が、経営者としての真価が問われる場面です。

さきがけ税理士法人では、常に最新の税制や助成金制度に関する情報を収集しています。最適な助成金・補助金を見つけて、受給まで一貫してサポートします。