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コラム
「上場廃止」と聞くと、どうしても経営危機などのネガティブな想像をしてしまうのではないでしょうか。しかし実は、健全な経営状態の企業でも上場廃止をすることはあるのです。
今回は上場廃止が起こる主な要因と、上場廃止のメリット・デメリットについて解説します。
株式上場とは、証券取引所において株式を取引可能にすることを言います。上場すると自社の株式が市場で取引される結果、市場での価格が形成されることになります。こうした株価を基準に新規に株式を発行することで、市場から資金を調達することができるようになります。
上場廃止とは、このような証券取引所における売買の対象から自社の株式を除外することを言います。
上場廃止が行われる要因には、取引所が定める「上場廃止基準」に該当した場合と、自主的に上場廃止を申請した場合の二種類があります。
<上場廃止基準に該当した場合>
日本取引所グループの定める上場廃止基準は、以下の通りになっています。
・上場維持基準への不適合
・有価証券報告書等の提出遅延
・虚偽記載または不適正意見等
・特設注意市場銘柄等
・上場契約違反等
・その他(銀行取引の停止、破産・再生・更生手続、反社会勢力の関与等)
よく想像される経営破綻による上場廃止は、「その他」の項目の一部に該当しますが、その件数はあまり多くなく、2022年の1月から10月の期間に至っては1件もありませんでした。
<自主的に上場廃止を申請した場合>
経営戦略の一環として、企業が自主的に上場廃止を選ぶことがあります。その場合は、MBOを実施するケースが多く見られます。MBOとはManagement Buyout(マネジメント・バイアウト)の略で、経営陣が自社の株式などを買収し経営権を獲得するM&Aの手法の一つです。会社の経営に外部から関与されるリスクを減らし、経営権を安定化させる目的で行われることが多いです。
上場廃止を選択するメリット・デメリットは、それぞれ大きく二つ挙げられます。
<メリット>
・経営の舵取りがしやすくなる
上場していると、経営者は株価を上げる目的や株主の評価を得るために、短期的な利益を気にしなくてはなりません。しかし、上場廃止すれば外部から経営に関与されるリスクが減るため、長期的な経営計画を立てやすくなります。
また、不特定多数の株主に散っていた経営権が一点に集中することで会社経営の基盤が安定化し、事業方針などの意思決定をスムーズに行えて迅速な判断が可能になる場合もあります。
・上場維持コストを削減できる
上場会社は四半期ごとに決算を開示しなければならなかったり、提出書類の作成に人件費がかかったり、監査法人への支払いが増える、内部統制関連にコストがかかるなど、上場を継続するための膨大なコストがかかっています。これらのコストと、上場による業績向上や上場廃止にかかるコスト(株式の買収など)とを比較して上場廃止に踏み切るケースも少なくありません。
<デメリット>
・ブランドイメージが下がる
上場廃止になると、一般消費者や取引先が抱くブランドイメージが下がり、売上に影響する恐れがあります。自主的に上場廃止を選んだ場合、取引先などに対してはその理由を明らかにするといった配慮があるとよいでしょう。
・資金調達がしにくくなる
証券取引所を通じて不特定多数の投資家から資金を調達できなくなるので、多額の資金を短期に調達することが難しくなります。事業を継続するための資金調達の目途をつけておく必要があります。
上場廃止にはメリットもあるため、自ら上場廃止を選ぶ企業は一定数存在します。しかしもちろん、上場を維持することのメリットも大きいことには変わりありません。
さきがけグループでは、財務コンサルティングや事業継承支援を通じてみなさまに最適なサポートをご提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。