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資金調達の基礎知識

小規模企業共済の節税メリットとは?デメリットはあるの?

今回は、小規模企業共済への加入による節税効果やメリット・デメリットなど、詳しく解説します。

◎小規模企業共済のメリット、節税効果は?

小規模企業共済は、いわば「経営者自身の退職金積み立て」といったイメージで、国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構によって運営されていいます。

業種にもよりますが、多くの場合、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員が加入することができ、解約時には最大で掛金納付総額の120%相当額を受け取ることができます。

また、加入できる年齢に上限はないことも特徴の一つです。

掛金月額は1,000円から7万円までの範囲内で自由に選択でき、1年間に支払った掛金の全額が所得控除の対象となります。掛金月額を7万円とし、前払いを利用することで、年間最大168万円の所得控除を受けることができるため、小規模の事業者にとっては強力な節税となります。

退職金のない経営者にとって、廃業時に向けた貯蓄をしながら節税効果を得られるということが小規模企業共済に加入する大きなメリットとなります。


その他にも、加入者は掛金の範囲内で低金利の貸付制度を利用できることもメリットの一つです。貸付制度には、事業資金のための「一般貸付け」の他に、病気の際などに利用できる「傷病災害時貸付け」など、さまざまな種類が用意されています。

◎加入するデメリットは?

節税効果や、貸付制度など、便利な点が多い小規模企業共済ですが、いくつかのデメリットも存在します。
・12ヶ月未満での解約
共済金は個人事業主の廃業や法人の解散などの際に受け取ることができる仕組みですが、掛け金納付額が12ヶ月未満の場合では、任意解約した際に解約手当金を受け取ることができません。
・加入期間240ヶ月(20年)未満は元本割れ
掛金納付月数が240ヶ月未満で任意解約をした場合には、解約手当金の額が支払った掛金総額を下回るというデメリットがあります。
・受け取り時には課税される
掛金を積み立てる際にはその全額が控除の対象となり節税ができますが、共済金の受け取り時には、退職所得や一時所得、公的年金等の雑所得として課税対象となります。


ここまで紹介したメリット・デメリットをまとめると、小規模企業共済では短期的な節税を行うことには向いておらず、長期的な積み立てと並行して節税を行いたい方に向いている制度と言えるでしょう。

◎受け取りは一括と分割のどちらが得?

小規模企業共済の受取方法には、「一括受取」「分割受取」「一括と分割の併用」の3種類があります。分割受取では、受け取り期間を10年と15年から選択することができます。分割、併用の場合の方が、一括に比べて受取総額は大きくなります。ただし、分割受け取りができるのは60歳以上であることや、共済金の金額が300万円以上(併用の場合330万円以上)であることといった条件がつきます。


また、それぞれの受取方法によって税法上の扱いが変わり、一括で受け取る場合には退職所得扱い、分割の場合には公的年金等の雑所得扱いとなります。退職所得として扱われる場合には勤続年数によって大きな控除を受けられるケースもあります。

そのため、一括と分割のどちらが得であるかという部分に関して一概に言うことはできません。


加入を検討する際は、デメリットや注意点をふまえた上で総合的な判断をする必要があります。さきがけ税理士法人では、いつでもご相談をお待ちしております。