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税務処理の基礎知識

法人成りしたとき~資産の処理方法と消費税

法人成りとは、個人で事業を営んでいた人が、会社を設立し事業を引き継ぐことをいいます。
今回は、法人成りするときの資産の処理と、消費税の扱いについてとりあげてみたいと思います。

◎個人から引き継ぐ資産の処理方法

法人成りするときに個人から会社へ資産を引き継ぐ方法には、次の2つがあります。

①現物出資の場合
現物出資をするには、定款に現物出資をする発起人の氏名、出資の目的となる財産とその価額、および、それに対して与える株式の数などを記載します。
さらに裁判所が選任した検査役により、これらの事項が適正であるかどうか、検査を受けなければなりません。
ただし、現物出資する財産総額が500万円以下など、一定の条件を満たせば、検査役の検査を省略することができます。

②個人から買い取る場合
会社が個人から買い取る場合は、その価額は時価によって評価した金額になります。
棚卸資産は、原則として販売価額となりますが、もし販売価額の70%未満で譲渡した場合は、税務上は販売価額の70%相当額で譲渡したものをみなされます。
したがって、法人の棚卸資産の買い取り価額は、販売価額と販売価額の70%相当額の間で、合理的な金額を選択するべきです。
また、減価償却資産の時価については、資産の種類、用途、形式、使用経過年数などを考慮し、固定資産価額、販売者の見積販売価額、類似物件の販売実例価額などを考慮して決定するものとします。

◎個人事業から法人成りしたときの消費税の扱い

法人成りする前の個人と、法人成りした後の法人の事業内容は全く同じであっても、それぞれは違う事業者として扱われます。
つまり、納税義務の有無の判定も、別々に行うことになります。
たとえば、個人事業者の前々年の課税売上高が1000万円を超える場合でも、法人設立後は、前々事業年度の課税売上高がないので、納税義務は生じないということです。

個人事業の場合、開業年度とその翌年度は基準期間がないことから、消費税の免税事業者となりますが、法人の場合も同じように、資本金1000万円未満なら免税期間があるので、法人成りすることにより、原則として2年間は消費税の免税事業者となります。
個人事業者として開業し、課税事業者となる前に、資本金1000万円未満の法人を設立すると、最大で約4年間の免税期間となり、法人成りによる節税の効果があるというわけですね。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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