【創業にあたり個人事業と会社だとどちらがいいの?というご質問への答え】
創業にあたり個人事業として始めてもいいし、会社を作って始めてもいいです。それぞれにメリットデメリットがあります。社会的信用や、税金面での有利不利、色々あるので「結局はどうすればいいの?」というご質問への答えです。
お客様の状況
業種:ネット販売
サラリーマン時代に副業としてやっていたインターネット販売が予想以上に広がりそうで、会社を辞める決意をしました。これから事業を行っていくにあたり、どうやって行くか色々な疑問があるそうです。
- 社長サラリーマンを辞め、事業の準備をしているのですが、まず個人事業で行くか、会社を作るかで悩んでいます。
- 黒川なるほど、個人と会社ではかなり違いがあり、ややこしい部分も多いです。何でもお答えしますので、何でもお聞きください。
- 社長ありがとうございます。何となく会社の方がいいのかな、と思っていますが会社のメリットデメリットを教えてもらえますか?
- 黒川わかりました。まず会社のメリットは下記のようになります。
(1)社会的信用がアップする
(2)消費税が最大2年間免税(個人事業として課税事業者である場合)
(3)サラリーマンに認められる概算経費で節税できる
(4)所得を分散しやすい
(5)赤字を9年間繰り越すことができる
(6)決算月を自由に選べる
(7)社長や家族に退職金を支払うことができる
(8)節税手段が広がる
(9)代表者が社会保険に加入できる
(10)相続に対応しやすい
- 社長たくさんありますね。(3)ってどういった内容ですか?
- 黒川はい。会社にすると社長は会社から役員報酬をもらう形になります。社長といってもサラリーマンと同じで給料をもらうんですね。給料をもらう立場の人は経費を使ってもその給料から引けないのですが、さすがにそれはかわいそうということで概算の経費を控除することが認められているんです。
- 社長へぇ。私もサラリーマン時代には控除されていたということですね。
- 黒川そうです。そして社長になってからも同じく控除されます。役員報酬が月に50万円、年間で600万円だとしたら約170万円の概算経費が控除できます。
- 社長そんなに大きいのですか!
- 黒川そうです。この控除は個人事業にはありませんから、その分だけ会社の方が得なんです。
- 社長なるほど。次の(4)の所得を分散しやすいというのはどんな内容ですか?
- 黒川はい。所得税というのはその人の所得が多いほど税率が上がります。例えば所得100万円だと5%ですが、所得2,000万円だと40%にもなります。だから、一人で2,000万円を取るんだったら、二人で1,000万円ずつ取ったほうが税率が下がります。
- 社長なるほど。じゃあ、もし儲かったら私の場合は奥さんも給料を取るようにすればいいということですか?
- 黒川そうです。奥さんが事業を手伝ってくれているという前提ですが、個人事業だと奥さんが給料を取るにはいくつかの制限があってやりにくいんです。会社だとやりやすいです。
- 社長へえ、色々あるんですね。(6)の決算月を自由に選べるのはどんなメリットがありんですか?
- 黒川色々ありますが、一番は儲かる月を期首にすると節税だったり、投資だったりをしやすいことですね。逆に儲かる月が期末だったら、儲かったと思ったらすぐに決算突入で節税や投資の暇がないまま税金を納めることになります。
- 社長なるほど、ウチは12月が繁忙期だと思います。その辺も考慮したほうが良いということですね。
- 黒川はい。あと節税面で大きなメリットは(8)です。法人だと個人よりも節税手段がたくさんあるんです。「儲かったから会社を作った」という話を聞いたことがあると思います。それは節税方法が色々あるからです。
- 社長そうですか。知りませんでした。こんなにたくさんのメリットがあるんでしたら、会社の方がよい気がしてきますね。
- 黒川はい。でもデメリットもあります。まとめると下記のようになります。
(1)会社設立費用がかかる
(2)会計が複雑、申告書も複雑になる
(3)会計事務所との顧問報酬が発生
(4)税務調査が入りやすい
(5)社会保険加入の義務が生じる
(6)交際費に制限がある
(7)赤字でも法人住民税の均等割を払わなくてはならない
- 社長なるほど。(1)の設立費用はけっこう大きいんですよね。いろいろ調べたら25万円~30万円くらいしますからね。
- 黒川はい。それくらいが相場です。でも実はうちでやるとほぼ実費のみの21万円くらいで出来てしまいます。
- 社長それはだいぶお得ですね。創業の時はできる限り出費を減らしたほうが良いと本に書いてありました。会社を作るときはぜひお願いします。
- 黒川はい喜んで!
- 黒川あと費用面で言うと(2)と(3)に絡むのですが、会社の方が個人事業より会計が複雑ですので、基本的には税理士に依頼をする必要が出てきます。個人事業だと自分で申告する人も多いのですが会社の申告を自分でやるのはほぼ無理だと思います。
- 社長確かに。私も企画出身なので経理系の数字は苦手なんです。税理士さんにお願いするといくらくらいかかりますか?
- 黒川相場としては年間で50万円くらいです。
- 社長けっこう大きいですね。黒川さんのところもそのくらいですか?
- 黒川ウチはお付き合いの形がけっこう選べるので、最安で年間49,800円です。ただし、色々と社長の方で手間をかけていただくことがいくつかあります。
- 社長だいぶお安いですね。
- 黒川はい。ただし先ほども申し上げた通り料金が安いプランは社長に色々とお願いすることがあります。経理面で全てを丸投げしたい、といった場合などはやはり相場に近く年間で40万円くらいになります。昔と違ってお客様の要望が様々ですので色々なプランを作ってあるんです。
- 社長なるほど。ところで個人事業か会社だったらどっちがいいでしょうかね。
- 黒川儲けの金額によっては個人事業の方が会社より税金が安いことがありますし、今までメリットデメリットをさんざん説明してきて言うのも何ですが、気持ちの問題かなと思います。事業を本気でやるなら会社しかないと思います。
- 社長わかりました。ちょっと考えて結論を出しますので、個人事業か会社かが決まったらまたご連絡します。顧問の件をお話しさせてください。
- 黒川ありがとうございます。よろしくお願いします。