前回、資本経常利益率を分解する「売上高経常利益率」と「総資本回転率」についてお伝えしましたよね。例にあげて分析したA社の資本経常利益率を悪化させる原因は、総資本回転率でしたが、今回はもしその原因が売上高経常利益率だった場合の、さらなる要因を分析する方法をご紹介します。

◎「売上高経常利益率」の悪化原因

おさらいになりますが、まずは経常利益が算出される過程を確認しましょう。
①売上総利益＝売上高ー売上原価
②営業利益＝①売上総利益ー販売費及び一般管理費
③経常利益＝②営業利益＋営業外収益ー営業外費用
上記の通り、③経常利益が算出される過程では、①売上総利益と②営業利益が算出されますよね。よって、売上高経常利益が悪化している場合は、以下の2つの比率をチェックしてみることが大切です。
・売上高売上総利益率…売上高に占める、①売上総利益の比率。　計算式　→　売上高売上総利益率＝売上総利益/売上高
・売上高営業利益率…売上高に占める、②営業利益の比率。　計算式　→　売上高営業利益率＝営業利益/売上高
どちらも売上に占める利益の割合なので、計算結果は大きい方がよいと言えます。

◎「売上高経常利益率」の分析例

ここでは、B社の過去3期分の損益計算書の比較を例に、具体的な売上高経常利益率の分析をしていきましょう。分かりやすいように、売上総利益、営業利益、経常利益の各割合の欄にスポットを当てて見ていきます。
＜B社の損益計算書（前々期）＞
①売上総利益の割合…60　②営業利益の割合…20　③経常利益の割合…20
＜B社の売上高経常利益率（前期）＞
①売上総利益の割合…60　②営業利益の割合…15　③経常利益の割合…15
＜B社の売上高経常利益率（当期）＞
①売上総利益の割合…60　②営業利益の割合…10　③経常利益の割合…10
上記の各割合の推移は、以下のような分析ができます。
・分析1…③売上高経常利益率がだんだんと悪化している。その原因をさらに探るために分析2に続く。
・分析2…①売上高売上総利益率は、変化はない。
・分析3…②売上高営業利益率が、だんだんと下がってきている。
よって、営業利益を算出する際のマイナス要因である「販売費および一般管理費」に原因があるということが分かります。このように、どんどん分析を進めていくと、悪化の根本の原因を突きとめることができるのです。

※記事に含まれる情報は、記事作成時点のものとなります。