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経理に役立つ簿記知識

「前受収益」の仕訳方法とは?

◎勘定科目「前受収益」とは?

前回は、当期の回収としなければいけないもののうち、代金がまだ未回収のものを計上する勘定科目「未収収益」の仕訳方法についてご紹介しました。
これとは反対に、当期の取引で、次期の分まで回収してしまっている場合もありますよね。例えば、地代や家賃など一定の契約に従ってサービスを提供する時に、半年分や1年分などの代金を先に受け取るのがそれにあたります。先に受け取った分が当期中に当たるものなら問題ないのですが、次期の分まで受け取ってしまう場合もあります。このように次期にあたる、まだサービスを提供していない収益は、当期分から除外する必要がありますよ。
なお、次期の収益の前受け分を除外する勘定科目のことを「前受収益」といいます。そして次期の収益の前受け分を除外することを「収益の繰り延べ」といいます。

◎「前受収益」の仕訳方法

<例1:決算日3月31日の会社で、1月1日から貸し始める賃貸マンションの家賃(1カ月20万円)の1年分(240万円)を先に受け取る場合>
・当期分…1月~3月 ⇒ 60万円
・次期分…4月~12月 ⇒ 180万円 ⇒ 除外する仕訳をする
◇1月1日(受け取り日)の仕訳
①結果を考える…現金240万円を受け取った ⇒ 帳簿の左(借方)に「現金240万円」と記入
②原因を探る…家賃1年分を先に受け取った ⇒ 帳簿の右(貸方)に「受取家賃240万円」と記入
◇3月31日(決算日)の仕訳
①結果を考える…次期分の収益180万円を受け取った ⇒ 帳簿の右(貸方)に「前受収益180万円」と記入
        (この場合、次期の分を前に受けたという意味の「前受収益」という負債勘定で処理する)
②原因を探る…次期分の家賃180万円を除外した ⇒ 帳簿の左(借方)に「受取家賃180万円」と記入

<例2:決算日3月31日の会社で、A社に1月1日から土地(1カ月30万円)を貸し付ける契約をし、1年分(360万円)を先に現金で受け取った場合>
・当期分…1月~3月 ⇒ 90万円
・次期分…4月~12月 ⇒ 270万円 ⇒ 除外する仕訳をする
◇1月1日(受け取り日)の仕訳
①結果を考える…現金360万円を受け取った ⇒ 帳簿の左(借方)に「現金360万円」と記入
②原因を探る…地代1年分を先に受け取った ⇒ 帳簿の右(貸方)に「受取地代360万円」と記入
◇3月31日(決算日)の仕訳
①結果を考える…次期分の収益270万円を受け取った ⇒ 帳簿の右(貸方)に「前受収益270万円」と記入
        (この場合、次期の分を前に受けたという意味の「前受収益」という負債勘定で処理する)
②原因を探る…次期分の家賃270万円を除外した ⇒ 帳簿の左(借方)に「受取家賃270万円」と記入

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