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経理に役立つ簿記知識

黒字倒産はなぜ起きるのか?その原因と防ぐ方法に分かりやすく解説

信用調査会社による2012年のデータにはなりますが、倒産した企業の財務データを分析した調査結果によると、倒産した企業のうち赤字だった企業の割合は約55%だったようです。つまり、約半数の会社は赤字ではないのに倒産していることになります。

しかし、世の中の会社を見てみると、赤字にも関わらず経営を続けられている企業も少なくありません。黒字なのに倒産してしまう会社と、赤字なのに経営を続けている会社。その違いはどこにあるのでしょうか?

今回は黒字倒産について解説いたします。

◎なぜ黒字なのに倒産してしまうのか

一般的に使われている言葉ではありますが、「倒産」は実は正式な法律用語ではありません。そもそも倒産とはどういうことか、正確に説明できるでしょうか?おそらく漠然としたイメージしかないのではないでしょうか。

倒産にもいくつか分類はありますが、基本的には「企業が債務の支払い不能に陥り、経済活動を続けることが困難になった状態」を指します。つまり、「返済(支払)しなければならない債務の返済(支払)を自己資金で賄えず、借入もできずに会社の経営が行き詰った状態」です。もっと平たく言ってしまえば、「必要な時に必要な現金を持っていない」ことと言えます。

黒字決算なのに倒産する会社は、「会計上の収入と支出」は黒字なものの、「現金の入金と出金」において出金が上回ってしまっていると考えられます。赤字決算なのになのに経営を続けていられる会社は、逆のことが起こっていると考えて良いでしょう。つまり、鍵を握るのは「キャッシュフロー」ということです。

過去には、過剰な在庫を抱えることにより帳簿上の計算では黒字でありながらキャッシュフローは赤字だったという企業や、損益計算書では黒字でありながら売掛金の回収が滞った事によりキャッシュが手元に入ってこない状況に落ちった企業などがあります。これらのことからも、キャッシュフローの重要性は明らかであると言えるでしょう。

◎黒字倒産を防ぐには

倒産した会社のうち約半数が黒字決算であることは、会計上、黒字決算であっても倒産しないという保証はなく、注意を怠ってはいけないことを表しています。ではどうすれば黒字倒産を防ぐことができるでしょうか?先ほども述べたように、鍵を握るのは「キャッシュフロー」です。

「入金のタイミングを早める」「入金から支払いまでの期間を延ばす」「無駄な仕入れ・在庫」を減らすというように具体的な手段はいくらか考えられますが、まず、第一にやるべきは「自社のキャッシュフローを正確に把握する」ことにあります。自社のキャッシュフローを把握したからこそ、自社にとって最も有効な手段を講じることができるのです。自社のキャッシュフローを正確に把握し現金不足にならないように経営を行うとともに、キャッシュが足りなくなることが予測される場合に備えて、あらかじめその対策を立てることが大事と言えるでしょう。

「キャッシュフロー経営」という言葉があるように、どれだけの現金資金が手元にあるかは会社が存続していくうえで非常に重要です。倒産しないためには、損益計算書や賃借対照表よりもキャッシュフロー計算書を現実的な数字で作り込むことが大切であると言えます。

俗にいう「どんぶり勘定」な経営で経理などの管理業務が正常ではない状態だと黒字倒産が起きやすいとも言われています。さまざまな危険を背負い込んでしまう「どんぶり勘定」の会計処理にならないためにも、日々の経理や会計、資金の管理と運用を計画的に行いましょう。

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