流動資産と当座資産の違いとは？実際の具体例を挙げながら解説

企業の財務状況を正しく理解するには、「資産」をどのように分類するかがとても重要です。中でも「流動資産」と「当座資産」は、似ているようで“現金化までのスピード”に大きな違いがあります。今回は、それぞれの違いをわかりやすく解説するとともに、具体的な資産例を挙げながら、どちらが多いとデメリットとなるのかについても触れていきます。

◎流動資産とは

1年以内に現金化できる見込みのある資産を指します。具体的には、以下のようなものが含まれます。

・現金：企業の手元にある現金。
・預金：銀行に預けられている資金。
・受取手形や売掛金：未収の売上が含まれますが、短期間内に回収される見込みがあるもの。

流動資産は、企業の短期的な財務状況や資金繰りの健全性を把握するために使われます。

◎当座資産とは

資産の中でも、早く現金化できるものだけを抜き出したものが「当座資産」です。当座資産は、企業がすぐに使えるお金の目安として重要視されることが多く、財務健全性を見る支払い能力を測る財務指標としても使われます。

具体的には、以下のようなものが含まれます。

当座資産は流動資産の中でも特に現金化が速い資産だけを集めたものなので、急な支払いや資金繰りのピンチに対応できるかどうかを見極めるのに適しています。

◎どちらが多いとデメリットとなるのか

「流動資産」と「当座資産」どちらが多いことがデメリットになるかは、その資産の中身や会社の状況によって変わります。

〇流動資産が多い場合のデメリット

・在庫が多すぎるケースが多い
流動資産には在庫や前払費用など、すぐには現金化しにくいものも含まれます。在庫が多いと、売れ残りリスクや保管コストの増加、資金の固定化が起こりやすいです。

・資金効率が悪くなる可能性
流動資産全体が多くても、すぐに現金化できる当座資産が少ないと、資金繰りが厳しくなる場合があります。

〇当座資産が多い場合のデメリット

・現金や売掛金に資産が偏りすぎると効率が悪い
当座資産は流動資産の中でも現金化しやすい資産ですが、現金を持ちすぎると手元資金が余っている一方で投資や成長の機会を逃すリスクがあります。

・利益を生まない資産の保有
例えば、現金を大量に持つことは安全策ですが、銀行預金の利息は非常に低いため、資金を有効活用できていないとも言えます。

結論としては、流動資産全体のバランスと質を見て、適正な水準を保つことが大切です。当座資産は最低限の安全性確保として確保しつつ、過剰にならないよう資金運用や投資も検討することが求められます。

さきがけグループでは、資産の種類や状況に応じた適切な財務管理を一括してサポートしています。お困りの際にはご相談ください。