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コラム

顧問税理士の選び方

決算申告を税理士に頼む際に気をつけたいこと

自分1人でこなすには膨大といっても差し支えないような量の「時間」と「労力」が必要になる決算申告。
「このコストをかけるくらいなら専門家である税理士に任せてしまおう」と決めても次に問題になるのが税理士の選び方です。
1つの街に必ず1つは税理士事務所があると言っても過言ではないほど、世間では多くの税理士が活躍していますが、その中から自分にぴったりの税理士を選ぶにはどうしたらいいのでしょうか。
今回は決算申告を税理士に依頼する際に気を付けてほしいポイントを紹介していきます。

◎税理士との相性を見極めよう!

いきなり「税理士との相性」というととっつきにくい印象を与えてしまいかねないので、まずは税理士とは何か、というところを説明していきたいと思います。

弁護士や司法書士など名称の末尾に「士」が付く職業のことを士業と呼ぶことはご存知だと思いますが、税理士もその士業の一つです。
士業の最大の特徴は法律によってその知識が担保されていることを受けて、特定の分野を独占して請け負えるということです。
逆に言うと、例えば税理士の業務分野に関しては税理士資格を所有していない人間には扱えません。

ではその業務内容は何でしょうか。
それは税理士という言葉が示すとおり、税務に関することになります。具体的に言うと、税金の申告代行や節税対策アドバイス、税務調査対応などがこれに当たります。

ところで現状、税理士が在籍している事務所には税理士事務所と会計事務所の二つがあるのですが、これらは名前が違うだけでどちらも業務内容に違いはありません。
なので、この記事を読んでいる皆さんが決算申告の代行を頼もうと税理士を探す際には、数ある税理士事務所と会計事務所の中から探すこととなります。

ただ、個々人それぞれに得意なことがあるように、税理士にもそれぞれ得意な分野というものがあります。
ここでタイトルの「税理士との相性」という話になるのですが、せっかく頼むのなら自分の業種を得意としている税理士に頼むようにしましょう。
一度決算申告を頼むと次期以降の決算申告をはじめ、顧問契約にまで話が進んでいくことがあるのですが、そうなった場合その業種が得意な税理士かどうかで節税対策や税務調査時の対応においてかなりの差が出てくるからです。
フランチャイズ形式の店舗を例に考えてみましょう。

フランチャイズのような独立採算の場合、決算申告や確定申告などは自分でしなければなりません。
ただ1からかというとそうではなく、決算申告に必要なデータを本部がある程度作ってくれるので、手間はそれほどかかりません。
税理士の依頼料というのは税理士の作業量に応じて増減するものなので、今回のフランチャイズのように税理士が1から数字を作る必要のない場合には、依頼料も安くなるのが基本です。
しかしこのフランチャイズ特有の仕組みを理解していない税理士に頼んでしまった場合、その店舗での売り上げベースで依頼料が提示されてしまうため、本来以上のコストがかかってしまいます。

また、税理士も1人の人間なので、そういった意味での相性の良し悪しというのもあります。
今回の決算申告1回限りの付き合いならまだしも、今後の付き合いまでを考えている場合には「人と人」の相性にも気を配りましょう。
第一印象はもちろんのこと、周りの人たちの評判なども参考にしてみてください。

◎不動産など特殊な取引があったら

自分の業種を得意分野とし、人間的な相性も良い理想の税理士を見つけられたとしましょう。
その税理士と顧問契約も結び決算申告や確定申告、税務調査の折には決まって相談するような間柄になったとしても、油断は禁物です。
なぜなら事業を継続していけば工場や営業所を増設するための不動産取得や、後継者に事業を譲り渡す際の株式の移譲など特殊でイレギュラーな決算申告が発生することがあるからです。

もしあなたの顧問税理士が通常の税務に関して素晴らしい能力を持っているとしても、こうした特殊な決算申告にまで強いとは限りません。
場合によっては初めての経験、なんてことも十分に考えられます。
この時は素直に他の税理士に依頼することを検討してください。
自分でこうした取引に強い税理士を探してもいいですし、もし顧問社労士や顧問弁護士がいるのであれば、その方から紹介してもらうというのも良いでしょう。

「自分の業種を得意としているか」「人間的な相性はどうか」「特殊な取引が発生した場合には臨機応変に」決算申告を頼む税理士を探す際にはこれらのポイントを意識するようにしましょう。