COLUMN

コラム

顧問税理士の選び方

どこまでを経費に含められるのか・・・税理士によってその判断基準は異なります

「この出費は会社のためのものだけど、果たして経費にできるのだろうか?」
経営者様や個人事業主様なら、必ず一度は悩む問題だと思います。
悩みに悩んだ結果、税理士などの専門家に判断を仰ぐこともあるでしょう。

しかし、税法の専門家である税理士であっても、実際に税務調査が行われないと、その支出が経費として認められるかはわかりません。(もちろん、認めさせるのが税理士の責務ですが)
ただ、自身の経験による「どこまでを経費に含むのか」の判断基準は持っています。
税理士によってその基準は異なるので、きちんと把握しておかないと、会社として不利な選択をすることになりかねません。
場合によっては、他の税理士を探した方がいいこともあるのです。

◎経費は税務調査でも問題になりやすい

なぜ経費にできるかどうかを真剣に考えるのか。
その理由は「税務調査で指摘されないため」と言っていいでしょう。
税務調査で指摘され、修正を行うことになると、延滞金などの追徴課税が発生してしまいます。

しかし、だからといって「これは経費にできるか微妙だ」と感じた支出を全て自費で出していたら。
会社のお金から出さなかった分は利益となりますので、税金が高くなってしまいます。
できるだけ経費にできるものは経費にする。
しかし経費にしすぎると、税務調査で指摘される可能性が高くなる。
そこで、税理士などの専門家の判断が重要になってくるのです。

◎税理士によってどこまでを経費にするかの基準は異なる

以前お会いしたことのある税理士さんの中に「税務調査で追加徴収を出したことがない」ということを自慢している方がいらっしゃいました。
始めは「優秀な税理士なんだな」と感服していたのですが、よくよくお話を伺っていると、「怪しい」と感じた領収書は経営者様に相談もせず捨てていただけだったのです。
中には、問題なく経費で落とせる領収書もあったかもしれません。
もしそうであれば、せっかく節税のために税理士に相談したのに、より多くの法人税を払っていたことになります。
少々極端な例についてお話ししましたが、このような税理士も実際にいます。

「これは会社の近くの飲食店だから経費にしよう」
「こっちは自宅近くの飲食店だから経費にはできないな」
そのような判断を勝手に行うのは、税理士として正しいか正しくないかはさておき、経営者様の意向を考えていない可能性が高いです。
もし考え方が合わないと感じるのであれば、セカンドオピニオンとして他の税理士の判断を仰ぐことをお勧めします。

また、経費に含めても問題にならないかどうかの判断基準は、税務調査経験の豊富な税理士であれば、確かな判断基準を持っているでしょう。
これから税理士を探すのであれば、そのような税理士を探してみてください。

◎会社のステージによって判断基準は異なる

まだ会社が小さく、従業員も少ないうちは「どれだけお金を手元に残すか」が最重要課題です。
だからといって全てを経費にしていたら、先程も申し上げたとおり、税務調査で指摘される可能性が高くなります。

しかし従業員が増え、会社が大きくなるにつれ、「全ての従業員が平等になるようにする」という観点が生まれます。
その平等性は経営者といえども例外ではありません。
平等になるための基準を設けると、今まで経費にしていたものでも経費にできなくなった、ということもありえるでしょう。

このように、会社の規模によって経費にするか否かの「会社にとっての」判断基準は異なってきます。
会社のステージを鑑みて「どこまでを経費にするか」を考えられる税理士は、柔軟な対応ができるよい税理士と考えてよいでしょう。
そのような税理士は、経費の処理の面だけでなく、経営を円滑にするためのサポートを手厚くしてくれるはずです。
信頼できる税理士を、ぜひ見つけてください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。